新幹線の線路点検、JR東「新型メンテ車」の実力は? 徒歩の目視検査から時速70kmでセンサー監視
晩秋の澄みきった青空の下、東京・田端にあるJR東日本の新幹線車両基地に2台の見慣れぬ真新しい車両が置かれていた。営業列車ではなく、線路のメンテナンスに使われる保守用車である。
車体の色は1台が緑で、もう1台は赤。この2台が連結すると、その色の組み合わせは東北新幹線E5系「はやぶさ」と秋田新幹線E6系「こまち」が疾走する姿に重なる。11月22日、JR東日本は新幹線専用のレールモニタリング車「SMART-Green(スマートグリーン)」と、線路設備モニタリング車「SMART-Red(スマートレッド)」を公開した。
2つの保守用車にはさまざまな検測機器が搭載されている。これまで人の手で行っていた作業の一部をシステム化することで線路点検作業の安全性や精度を高めるとともに、省力化による生産性向上も図る。
ICT活用で労働力不足に備え
JR東日本は、ICTを活用して車両や線路をメンテナンスする「スマートメンテナンス」に取り組んでいる。同社の路線網は首都圏の在来線を中心に輸送人員が極めて多く、大量の乗客を乗せた列車が頻繁に行き交うため線路への負荷が大きい。このため、他社にも増してきめ細かいメンテナンスが欠かせない。
そこへ人口減少社会の到来による労働力不足が立ちはだかる。しかも、鉄道のメンテナンスは運行終了後の深夜に行われることが多く、時には雨、風、低気温といった気象条件下での作業になることもある。労働環境は過酷で必要な人員を確保できないおそれもある。
そこで、作業をICTに置き換えることで労働力不足に備える必要がある。
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