新幹線の線路点検、JR東「新型メンテ車」の実力は? 徒歩の目視検査から時速70kmでセンサー監視

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レールは列車が繰り返し走行することにより傷や摩耗などの変状が発生する。在来線では営業車両の床下に測定機器を搭載した線路設備モニタリング装置を2018年頃から導入し、JR東日本管内の広範囲にわたって活用されている。レールにレーザーを照射して線路のゆがみを測定し、カメラが撮影した画像からレールと枕木を固定するレール締結装置の状態やレールとレールをつなぐボルトの状態を測定する。

従来の目視による検査では設備の状態を高い精度で予測することは難しく、また、頻繁に検査を行うこともできないため、基準よりも大きく余裕を見込んでおく必要があった。そのため、ほとんど不具合がない状態でも補修を行うといった過剰な作業になることもあった。しかし、ICT技術の活用により取得したデータをビッグデータ分析することで、不具合の発生を予測する精度が高まり、効率的な補修作業が可能となる。

「グリーン」と「レッド」何ができる?

スマートメンテナンスの動きは新幹線でも始まった。スマートグリーンはレールの状態を点検・検査する保守用車で、従来、JR東日本管内の新幹線で使われていたレール探傷車に代わり、さまざまな機能向上を図ったうえで、2023年6月に1両が導入された。従来のレール探傷車の約2倍にあたる時速70kmで走行しながらカメラやレーザーを使ってレール内部の傷の発見、レール表面の凹凸や摩耗などの状態をモニタリングする。

スマートレッド・スマートグリーン
スマートレッドは線路設備の点検・検査、スマートグリーンはレールの状態を点検・検査する。両者は連結して走行することも可能だ(記者撮影)

もう一方のスマートレッドは線路設備を点検・検査する。分岐器モニタリング、軌道材料モニタリング、点群データ取得の3つの機能を持ち、カメラなどの測定機器で線路のゆがみ、レール締結装置、分岐器などの状態などを測定しつつ、走行経路周辺の空間情報を点群データで取得する。こちらも時速70km走行でのモニタリングが可能だ。12月から1台が東北新幹線の一部エリアで稼働し、2025年度までに4台が導入される。

新幹線ということもあって、JR東日本によれば「線路画像データは在来線の2倍以上の高精度」という。在来線のように営業車両に搭載しない理由については、「当社が要求するモニタリングを新幹線の営業車の速度である時速320kmで実現する技術が確立されていないため」。

とはいえ、2つの保守用車の時速70kmでのモニタリング走行は「国内最速だ」とJR東日本新幹線統括本部の手代木卓也マネージャーが胸を張る。

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