新幹線「異常事態」を未然に防ぐ12人のプロ集団 台車トラブルを教訓にJR西日本が2018年に設置

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JR西日本の「走行管理班」が新幹線の車体検査を行っている様子。走行中の列車でも緊急に検査が必要だと判断した場合は駅に停車させ、線路上に降りて確認する(筆者撮影)

時刻通りに運行されているのは、もはや「当たり前」とすら感じてしまうほど、定時運行に信頼が厚い日本の新幹線。一方で、ひとたびトラブルが発生し、ダイヤが大幅に乱れる事態が起きれば、社会問題とも言えるほどの話題として取り上げられることも多い。特にそれが車両故障によるものであれば、鉄道会社としては未然に防がなければならない。そんな事態に発展する前に異常事態の“芽”を摘む、プロ集団がいる。

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「走行管理班」の活動とは

そのプロ集団とはJR西日本山陽新幹線統括本部内に設置されている「走行管理班」だ。岡山と広島の2拠点があり、新幹線車両の定期検修や修繕に従事したのちに選ばれた、合計12名の検修社員が所属。主な業務は「運転検査」と呼ばれる、営業中の列車に添乗して走行状態の車両を調査し、異常な音や振動、臭いなどが発生していないかをはじめ、そもそもそれらの“予兆”がないかを探すことである。万が一、安全に運転継続が不可能と判断した場合は、速やかに運行を中止させる。

JR西日本における「走行管理班」は、忘れがたい苦い経験から本格的な設置が行われた。2017年12月11日に発生した、JR西日本所属のN700A新幹線車両台車部に亀裂が見つかった「のぞみ34号重大インシデント」だ。この事象を受けJR西日本は、翌年2018年2月に岡山支所ホーム派出所、12月に広島支所ホーム派出所を開所した。なお、東海道新幹線を運行するJR東海にも名古屋に同様の組織があり、相互連携をとっている。

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