JR西「最新の車両メンテナンス」は何が違うのか 営業列車の車両データ活用、未然に故障防ぐ
メーカーでは、日立製作所が2024年9月に「HMAX(エイチマックス)」というソリューションを発表した。欧州で走る2000編成、8000両の日立製車両に導入されている。デンマークのコペンハーゲンメトロとも新たに導入契約を結んだ。今後も日本を含む世界への展開を加速する考えだ。CBMが採用されれば長期にわたる保守サービス契約を獲得できるとあって、ほかのメーカーもCBMの開発に躍起となる。
そんな中でJR西日本が2024年10月、「保守メンテナンス手法の変革の取り組みについて」という発表を行った。車両部門において決められた時期・内容での検査に加え、車両状態を常時監視・把握し、必要なときにメンテナンスする「モニタリング保全」というCBMの仕組みを取り入れたという。

「モニタリング保全」3つの取り組み
では、JR西日本のモニタリング保全によってどんな検査がどのように変わるのか。その詳細を知るために、システムを開発したJR西日本鉄道本部車両部検修課を訪ねた。
JR西日本がモニタリング保全に着手したのはおよそ10年前。将来的に労働人口が減っていく中で、人の手に頼る鉄道車両メンテナンスのやり方は維持できなくなるという危機感があった。そこで人の手を必要としなくてもできるものから順次置き換え、将来的に必要な人員を減らしていくという目的でスタートした。
「現在、3つのモニタリング保全の取り組みを進めています」と担当者が説明する。最初に挙がったのは「データによる検査の置き換え」である。車両の内部には運転台制御、空気圧力、室内温度などさまざまなデータが記録されているが、リアルタイムで確認する手段がなかった。しかし、近年の通信速度の向上によって状況が変わった。車内に記録されたデータを即時に地上に伝送できるようになった。
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