《セガがエヌビディアの経営危機を救った800万ドルの深層》 もし、あの時保有し続けていれば歴史は変わったか?
当時の投資資料、関連資料が散逸してしまった現在では全容を把握するのは困難だが、エヌビディアは創業から2年目にNV3の開発が難航して資金繰りが困難な事態に陥り、その経営危機を救ったのがセガからの8ミリオンだった。1995年は1ドル80円台へ急激に円高が進んだ影響で、セガからの5ミリオンの株式投資額は結局4億2500万円に抑えることができた。
危機を乗り越えたエヌビディアが急成長
「そんな段階を経ているうちに、シリコングラフィックス社が競争に勝てなくなって倒産してしまいました。他にもATIとか、いろいろなPCチップメーカーがたくさんあったんですが、エヌビディアはGeForce(ジーフォース)というグラフィックス・カードがメジャーになって、さらに業績を伸ばしていったんです。
2000年代に入って、アメリカに行って久々にジェンスンに会ったら、『サトウ、まだウチの株式持っているか?』と聞かれて、実はぜんぶ売ってしまったと答えたんです。そのころの株価は1株26ドルくらいでしたが、当時のセガはキャッシュフローが厳しかったから、本来であれば一部の株式分は残すべきなのですけど、すべて売却したあとでした。
その時にジェンスンが『いま持っていたら260ミリオンだな』というわけです。その頃まで保有していたら300億円近い現金になっていたのです。あのとき、今度はセガが苦境に陥って、しかたなく株式を売ってしまったけど、長期で保有していたらすごい金額になっていたんだと思いました」
ここで2000年3月期、セガの有価証券報告書からエヌビディア株式売却に関する項目をピックアップしてみた。
佐藤の証言の通り、株式保有(投資)は5ミリオン、セガの帳簿価格は4億2500万円、保有株式は75万株。当時の財務担当者らによれば、エヌビディア株式の売却は1999年4月から9月の間で全75万株を売却している。

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