〈怒涛の展開〉全店舗一時休業の次は「全従業員が会社都合で退職」……「新生ミュゼ」誕生で脱毛サロン大手はどこへ行く
「自主休業が拡大の兆しを見せ、反乱がこれ以上拡大する前に、全店舗休業という荒業に出ざるをえなくなったのだ。『お知らせ』には綺麗事が並べられていたが、文面どおり受け取る従業員はほぼいなかった。単なる時間稼ぎだと感じた従業員が大半だった」
ミュゼでは昨年11月末から給料の遅延や未払いが続き、不満を募らせた一部の従業員たちが3月19日から自主的に休業するなど“反乱”を起こしていた。そのため、店舗運営がままならず、仕方がなく全店舗で休業することにしたというのだ(詳細は3月21日配信「『脱毛サロン大手ミュゼ』従業員怒り爆発で休業へ」を参照)。
しかし混乱は収まらず、全店一時休業から8日を経て、今度は全従業員の退職という事態にまで発展してしまう。なぜこんなことになってしまったのか。じつは休業の裏で起きていた、ミュゼ争奪をめぐるMPHの内紛にその理由が隠されている。
「新経営陣が逃げ出した」
MPHの経営は2月に入った頃から大混乱に陥っていた。
2月7日、MPHで会長を務めていた大島正人氏らは臨時株主総会を開催。それまで社長を務めていた三原孔明氏ら全役員を解任し、大島氏と親しい人物が紹介したとされる阿部博氏を招聘、新しい社長に据えた。
三原氏をはじめとする旧経営陣サイドは、これを「クーデターによる乗っ取りだ」と主張。自分たちの正当性を訴えるため、東京地方裁判所に2月18日、自身たちが役員であることを認めるよう求める仮処分を申し立て、裁判沙汰に発展した。
それから1カ月余りが経過した3月26日。東京地裁は三原氏ら旧経営陣の地位を認める決定を下す。つまり大島氏らの起こした「クーデター」が否定されたわけだ。
大島氏ら新経営陣サイドはすぐさま対抗措置に出る旨を社内に通知したが、2日後の28日になってこんな情報が社内外を駆け巡った。
「大島、阿部をはじめとする新経営陣が逃げ出した」。従業員の1人は、「何が起こっているのかよくわからないが、一切連絡がつかなくなってしまった」と明かす。