日枝氏は辞めたけれど体質は変わらない? フジテレビの経営刷新に残る「3つのモヤモヤ」の正体
フジ・メディアHD会長の金光氏がフジテレビにおらず、フジテレビ取締役の大野貢氏と福井澄郎氏はフジ・メディアHDにはいない。だが、それ以外はまったく同じ面々が兼任している。持ち株会社とその子会社なのに、これでは同じ会社だ。「監督機能と業務執行機能の分離」をうたっているのに、これでいいのだろうか。

実はテレビ局が持ち株会社体制を採る場合、「認定放送持株会社」という特別な制度にのっとっている。そもそもこの制度は、デジタル化や「放送と通信の融合」によって多額の資金調達や経営の効率化が迫られる中で、経営が厳しくなりそうな地方局をキー局の傘下に収めるための制度だった。
ところが、いずれの持ち株会社も、資本関係があったメディア企業や広告会社などを傘下に収め、キー局中心の経営体制を強めた。その結果、制度の本来の目的から外れ、「キー局を親会社とする企業グループ」となってしまっている。本来の考え方からすると、中核企業といえど役員体制は分けるべきなのだ。
持ち株会社とキー局自身の役員がほぼ同じ顔ぶれとなっている状況は、ほかのキー局にも見受けられる。テレビ局の人たちは「認定放送持株会社」が理解できていないのではないかと思っていた。
唯一、TBSが2024年6月にTBSホールディングスとTBSテレビの社長を分け、制度の本来の趣旨に沿った陣容に変更した。それと比較すると、今回のフジテレビとフジ・メディアHDの旧態依然ぶりが際立つ形となった。
日枝氏の影響力はそれでも残る?
また、安田美智代氏と柳沢恵子氏は経営企画出身で金光氏、清水氏の部下だった。「権力者がすり替わっただけに見える」と評する元フジテレビ関係者もいる。
金光氏が旧世代で唯一、新経営陣に残ったのも合点がいかない。「残された」と見えなくもないからだ。「不可解で株主から追及されかねない」と、前出の元フジテレビ関係者は言う。
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