日枝氏は辞めたけれど体質は変わらない? フジテレビの経営刷新に残る「3つのモヤモヤ」の正体

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今回取締役に就任した若生伸子氏は現在、民放公式テレビ配信サービスを運営するTVerの社長を務めている。そのため非常勤扱いだが、6月には常務取締役に就任し、フジ・メディアHDの常務取締役も兼任する予定だ。

両社で清水氏に次ぐポジションになるので、ゆくゆくはキー局初の女性社長誕生となる可能性もある。その点において、今回の取締役人事は評価できる面がある。

新任の独立社外取締役である3人も、ベンチャー企業の経営者、マサチューセッツ工科大学出身のメディア研究者、世界有数の会計事務所出身者と、放送業界にはない人材。うち2人は40代だ。

新たにフジテレビの執行役員になったのは、清水氏を除くと9人。新しい分野の局長級の人材で、年齢も若い。

取締役、執行役員を合わせて、これまでとガラリと変わり、刷新感が溢れている。1980年代から1990年代の「フジテレビ黄金時代」を引きずる人々は一掃された格好だ。今回の騒動を注視しながら経営刷新によるフジテレビの再生を期待していた私としては、非常に評価できるものだ。

発表タイミングにまつわるモヤモヤ

ただ、つぶさに見ていくと、モヤモヤする要素もある。

まず何より、タイミングだ。月内に第三者委員会による調査結果が発表される。経営体制を見直すなら、それを受けてからのほうが自然ではないだろうか。

金光氏は会見で「できるだけ早く判断したかった」と述べた。調査結果が出る前に先手を打ったとも言えるが、来週にも調査結果が出るこのタイミングは先手になるのか。どうせやるならもっと早く発表したほうがよかったのではないだろうか。

リスクとしては、調査結果の中で今回発表された新任の執行役員の名が出ないとも限らない。その意味でも、タイミングとして中途半端に思える。

もう1つのモヤモヤは、フジテレビとフジ・メディアHDの取締役体制を並べると誰もが感じるだろう。

次ページ両社の取締役を比較してみると…
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