血液のがん「白血病」 急性と慢性、骨髄性とリンパ性の違いは?早期発見はできる?最新の治療は?知っておきたい基礎知識【医師が解説】

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白血病細胞と白血球がゼロになった状態で、骨髄移植(造血幹細胞移植)を行うことで、新しい正常な白血球を体に巡らせます。

治療後、白血病が再発せず5年が経過すれば、治癒したと判断されます。

高額療養費制度の改悪は大問題

ここからは少し話が変わります。高額療養費の話です。

急性白血病では、半年から1年ほどかけて抗がん剤治療と骨髄移植を行いますので、かなり高額な医療費がかかってしまいます。

抗がん剤治療が1サイクルで100万円ほど、骨髄移植となると400万~500万円かかります。それだけでなく、3週間ほどは無菌室に入る必要があり、それだけでも60万円かかります。

こうした治療は2年ほどかかるので、その間患者さんは仕事ができませんから、収入が途絶えるという問題もあります。

そのため、患者さんはかならず高額療養費制度のお世話になります。高額療養費の多数該当を利用すれば、月の負担が4万円ほど、24カ月でも総額100万円ほどですみます。

慢性骨髄性白血病の場合は、もっと深刻です。薬代は健康保険の3割負担でも月約15万円になり、これを5年以上にわたって続けなければなりません。人によってはさらに長期に服用が必要となります。

これが高額療養費制度の多数該当を使えば、月約4万円ですみます。10年間治療すると、約1800万円の薬代が約480万円の自己負担ですみます。

何より白血病は重大な病気ですから、患者さんだけでなくご家族も仕事を辞めたり休んだりして、看病にあたられることが多いです。収入の減少だけでなく、看病にまつわる交通費や滞在費がかかり、決して軽い負担ではありません。

今まで普通に暮らしてきた人がある日突然病に襲われ、非常に重い経済的負担を強いられるのですから、たいへんです。

本国会では見送られましたが、血液内科医として白血病の患者さんと接してきた筆者にとっては、高額療養費制度の自己負担限度額が上がることは、水に落ちた犬を棒でたたくように感じます。

※高額療養費制度の上限は所得によって異なります。

久住 英二 立川パークスクリニック院長

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くすみ えいじ / Eiji Kusumi

1999年新潟大学医学部卒業。内科専門医、血液専門医であり、旅行医学やワクチンに関する造詣が深い。国家公務員共済組合連合会虎の門病院で内科研修ののち、臍帯血移植など血液がんの治療に従事。血液内科医としての経験から感染症やワクチンにも詳しく、常に最新情報を集め、海外での感染症にも詳しい。2024年12月に立川高島屋SC10階に内科、小児科、皮膚科の複合クリニック「立川パークスクリニック」を開業した。

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