血液のがん「白血病」 急性と慢性、骨髄性とリンパ性の違いは?早期発見はできる?最新の治療は?知っておきたい基礎知識【医師が解説】

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白血病は急性と慢性だけでなく、細かく4タイプに分類されます。それぞれ行う治療も違うので、あわせて解説しましょう。

■急性リンパ性白血病

リンパ球になる細胞ががん化した白血病で、T細胞性とB細胞性に分けられます。子どもの白血病と若い人の白血病に多いタイプです。

治療は、強力な抗がん剤治療をして白血病細胞をできる限り減らしてから、骨髄移植(専門的には同種造血幹細胞移植といい、ドナーから造血幹細胞をもらって移植する治療のこと)が必要となることが多いです。

ドナーは、最近では「ハプロ一致移植」という方法が普及したため、親や子がなるケースが多いです。兄弟や家族にドナーが見つからない場合は、骨髄バンクや臍帯血バンクを利用することになります。

一方、特有の染色体異常をもつタイプでは、飲み薬だけですむ場合もあります。

■急性骨髄性白血病

成人の白血病で多いタイプです。白血病は最も遺伝子解析が進んだがんで、遺伝子異常で再発するリスク分類がなされています。再発するリスクが高いタイプは、抗がん剤治療のあとに続いて骨髄移植を行います。

■慢性リンパ性白血病

日本では少なく、高齢者がかかるケースがほとんどです。多くの場合、治療する必要はなく、定期的に血液検査をするだけです。

■慢性骨髄性白血病

骨髄球系の細胞が全体に増殖するタイプの白血病です。以前は骨髄移植が必要となる病気でしたが、今は抗がん剤治療だけですみます。

白血病は「早期発見」できない?

慢性骨髄性白血病の年間の発病率は10万人に1人程度で、ほかの白血病もだいたい同じです。昔は開業医が「一生に1人見つけるかどうか」といわれていたほど、極めてまれながんです。

筆者は血液の病気を専門とする医師なので、外来には白血病を心配して受診する方が時々いらっしゃいます。しかし、開業医として約17年間、ずっと患者さんを診てきたものの、白血病が見つかった方は幸いにも1人もいません。

実をいうと、白血病はほかのがんと違って「早期発見」という概念はありません。

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