血液のがん「白血病」 急性と慢性、骨髄性とリンパ性の違いは?早期発見はできる?最新の治療は?知っておきたい基礎知識【医師が解説】

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通常、がんといえば「検診を受けて、早期発見をすることが大切」といわれています。それは、がんがほかの臓器に広がる前に見つけられれば、がんのある臓器、またはその一部を手術で切り取ってしまうことで、治癒する可能性が高まるからです。

したがって、そのような状態のがんを「早期がん」と呼びます。

対して、血液がんは、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫なども含め、もともと全身を循環する血液の細胞ががん化しているため、発見時には全身にがん細胞が散らばっていることになります。そのため、早期がんという概念がないのです。

急性白血病は抗がん剤がよく効く

では、がんが見つかったときには全身に広がっているから、あきらめるしかない。そう思う方もいると思いますが、必ずしもそういうわけではありません。

手術で切除することは難しいですが、薬、すなわち抗がん剤でたたくということは可能です。

抗がん剤の効き目は、「がん細胞に薬が届くか否か」「がん細胞が増殖しているか否か」によって左右されます。

がんの種類によっては、がん組織の血流が悪くて、抗がん剤を入れてもがん細胞まで届かないことがあります。そうすると効き目があまり期待できません。ところが、血液がんは血液中にがん細胞がいるので、抗がん剤を服用したり点滴したりすれば、がん細胞に薬を届かせることが可能です。

また、急性白血病ではがん細胞はどんどん増殖します。一晩で白血球の数が5万個から10万個に増えることがあるほどです。抗がん剤の多くは「がん細胞が分裂して増殖する」のを妨げることで、効果を発揮します。ですから、増殖が極めて盛んな急性白血病では抗がん剤が効きやすいのです。

したがって、抗がん剤治療を行うことで、白血病細胞が体内にいるのかわからない状態=寛解という状態にもっていくことが可能です。

ただ、寛解といっても、体内には見えない白血病細胞が残っています。そこで抗がん剤治療を繰り返し、より深い寛解状態を目指す必要があります。最終的には体内の白血病細胞を白血球ごとすべて殺すために、超大量の抗がん剤治療と、全身への放射線照射をします。

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