イスラエル現地で高まる「ハマス壊滅」の強硬世論、「攻撃反対」「反政権」派が訴えるのはあくまで人質解放取引、「パレスチナ和平派」は消えた

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立ち並ぶ犠牲者の写真の間を歩く、イスラエル国旗を持った若者に話しかけると、テルアビブ近郊ラアナナの中・高校の生徒という。女性学校長のヤエル・ラックスさん(44歳)が100人を引率しやってきた。これから、ポーランドのアウシュヴィッツ強制収容所も訪ね、歴史の教訓を学ぶという。

ラックス校長は「無数の亡くなった人たちの顔を見るのはつらいこと。それぞれの人がそれぞれの人生を持っていた。しかし単に悲しがっていてばかりではいけない。イスラエルはもっと強くなり、団結しなければならない」と語った。

兵士の姿も目に付いた。博士号を持ち、国内のコンサルタント会社で融資アナリストとして勤めるAさん(48歳)は、元予備役兵として2週間の訓練を終え、会場で行われる修了式に出席するためにやってきた。

元予備役の訓練修了式(筆者撮影)

イスラエルでは男性は18歳から3年間(女性は2年間)、兵役の義務があり、その後も40歳まで毎年1週間から1カ月間、予備役として兵役につくという。Aさんの今回の兵役は、有志によるもので、「40歳以上の元予備役が部隊を作る。長い間、武器を扱っていなかったのでカンを取り戻すため訓練した。夏には30~60日間、本格的な軍務につく」と話す。

元予備役兵は人質交換交渉を批判

Aさんは、かつて参加した対ハマス軍事作戦について、「いくつかの部隊が地区ごとに担当する。戦車や航空支援を受けて、事前の情報で特定の家を対象とするか、一軒一軒捜索することもある。ロケット弾や戦車で壁を壊してから家の中に入る。どの家にも武器や弾薬が隠されている。トンネルを発見した時は特殊部隊が爆破するが、離れたモスクや家が吹き飛ぶので、トンネルがつながっていることがわかる」と体験を語った。

「ガザでのイスラエル軍の攻撃はやりすぎではないか」と聞くと、「過剰ではない。ハマスは5万人が殺されたとしているが、実際は1万~1万5000人くらいで、ほとんどがハマスの戦闘員。軍は人道的支援も行っている」と反論した。

Aさんは、「人質と交換に、多くの殺しのプロであるテロリスト(BBCによると2月14日までに釈放されたパレスチナ人は766人)を釈放することで、われわれの家族の安全を脅かしていいのか。今政府がやっているのはまずい取引(ディール)だ。イスラエルを世界の邪悪の根源と主張するようなハマスと交渉する必要はない」と断言した。

元予備役兵の訓練修了式は家族も参加する和やかな雰囲気で、おそらく優秀な成績を修めたからだろう、幾人かの兵士が表彰を受けていた。国歌斉唱で式が終わると、車で三々五々帰途についた。

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