ディズニー『白雪姫』実写版が大コケか ポリコレ配慮で古典を今の時代に合わせる無理筋

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だが、ディズニーにとっては、あくまで自分たちの古典アニメーションをできるだけそのままライブアクションでリメイクするのが狙いなのであり、そんな自由はない。それでがんじがらめになっている。

たとえば、白雪姫のキャラクターはアップデートしても、「美貌に執着する継母が毒リンゴで殺す」という設定はそのままなので、お妃様のキャラクターはどうしても薄っぺらく、演じているガル・ガドットがちょっとかわいそうでもある。

白雪姫 ガル・ガドット
悪役のお妃様を演じたガル・ガドット©Disney

無理のないオリジナルの実写化もある

2026年夏に公開予定のライブアクション版の『モアナと伝説の海』は、同じ問題に直面することはないだろう。オリジナルのアニメーション映画が公開されたのは、2016年。キャラクターには最初から多様性があり、ティーンの女の子が未知の世界を旅しながら成長していく物語で、今の価値観に合っており、無理がない。

さらに、オリジナルの映画は、劇場公開後、配信を通じてますますファン層を広げてきたという強みがある。昨年末に公開された続編『モアナと伝説の海2』も大ヒットしたし、ファンは楽しみに観にいくに違いない。

ライブアクション化の企画は発表されていないものの、2013年公開の『アナと雪の女王』も、男性ではなく姉妹愛のおかげで救われるという話で、すんなりといけるはずだ。それに、このシリーズもまた、現代の観客が子供の頃から見て育った、馴染みのあるものである。

逆に『白雪姫』の場合、劇場で観た思い出がある人は、もはやほとんどいない。ノスタルジアという意味でも、実はそう強くないのだ。『白雪姫』は、いじるべきではなかった。時には、放っておくべき作品もある。このライブアクション版が伝える本当のメッセージは、それではないだろうか。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

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さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。
X:@yukisaruwatari
 

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