ディズニー『白雪姫』実写版が大コケか ポリコレ配慮で古典を今の時代に合わせる無理筋
「王子様」も、登場しない。オリジナル版の名曲「いつか王子様が」も出てこない。この映画で白雪姫が恋に落ちるジョナサンという男性は、泥棒だ。社会的階級でいうなら格下である。
ふたりはひとめぼれではなく、ある程度時間をかけてお互いを知っていく。彼のキスで息吹を取り戻すのは同じだが、目覚めた白雪姫は、自分から彼に熱烈なキスをする。性的行為に同意が必要な今の時代は、女性側もキスを求めていたことを示すのが大事なのである。
また、こびと(この言葉は一度も使われない)たちの家の掃除は、白雪姫がやってあげるのではなく、彼女も一緒になってこびとたちにさせる。「家事をやるのは女性」というのは、古いのだ。そうして、優しい心と勇気を持つ白雪姫は、みんなの支持を得ながら、国のトップとして成長していく。
無理やり今の時代に合わせた結果が…
この『白雪姫』はそんな白雪姫を描き、少女たちにポジティブなメッセージを送る。だが、人は『白雪姫』に、説教されることを求めているのだろうか。ゼグラーが言った通り、1937年のオリジナルの価値観は、時代遅れだ。しかし、だからこその純粋無垢な魅力もある。それを今の時代に合わせた映画を見たいと、誰が頼んだのか。
徹底的に違う視点からやるというのなら、話は別。事実、『白雪姫』は、別のスタジオやフィルムメーカーによって何度か映画化されている。原作のグリム童話は、もっとダークで残酷だ。
グレタ・ガーウィグ監督が、「典型的な美女」を逆手に取るという型にはまらないアプローチで『バービー』を大成功させたように、面白いものが生まれるかもしれない。
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