東京電力・偽りの延命、なし崩しの救済《2》--原理主義者とリアリスト
1年前は、国有化は法的整理とセットであるという議論が主流だった。今回も、法的整理を求める声はある。
ある国会議員は、「原子力損害賠償支援機構法の附則には、株主やその他の利害関係者の負担のあり方について早期に検討することが盛り込まれている」と指摘したうえで、「その主旨は、段階的に法的処理を実施し、減資や債権放棄など利害関係者の責任を問うこともありうる、ということだ」と言う。
ただ、実際には、法的整理をするにはすでに手遅れのようだ。
別の議員は、「機構法が成立した時点で、法的整理の可能性は消えた」と話す。
「国が資金援助をしてから法的整理をしたら、すでに投入した分の税金が吹き飛ぶ。資金を入れた時点で法的整理はありえない。附則は、“法的整理主義者”を押さえ込むための方便にすぎない」
実際に機構法をめぐる与野党協議に当たった自民党議員は、「法的処理をするかどうかより、中長期的に東電の責任をどう問えるかというのが争点だった。東電を潰すような実験はできなかった」と振り返る。
会社更生法でも東電は困らない
もし今、実際に法的整理した場合、金融機関や株主など利害関係者による猛烈な反発が予想される。