ミドリムシが人類を救う、大志を抱くユーグレナ

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世界的な競争のカギは培養コストの引き下げ

高タンパクで高栄養のミドリムシを利用した機能性食品やサプリメントなど主力事業が好調で、09年9月期以降、通期黒字を達成している。

「09年11月の『ミドリムシクッキー』発売を契機に、食品名から、それまでのユーグレナを外し、ミドリムシを全面に出すようにした。これが成功した」(永田)。当初、OEM商品の提供先から「ミドリムシという名前を出さないでくれ」と苦情があった。ミドリムシと芋虫を勘違いし「気持ち悪い」という抵抗が寄せられる懸念があったからだ。しかし、それは違った。ミドリムシという強烈な印象こそが、商品の認知度を高めた。今や、主力のクッキー、バー、雑炊、サプリメント商品のパッケージにはミドリムシの名前が堂々と記されている。

永田は言う。「現在の強化テーマは、ミドリムシの培養コスト引き下げと利用可能性の拡大。原価を下げれば、世界の栄養失調問題の解決のために営業支援できるから」。これは、出雲たちがミドリムシと出合い、起業を決意した原点である。

ミドリムシの効用は知れ渡り、世界中で研究開発が進む。競争のポイントは、屋外での大量培養技術の確立だ。冒頭の大分県で採取したミドリムシには、培養に適したタフさや細胞分裂の活発さが期待される。

ユーグレナは上場準備に入っている。彼らの夢はさらに実現に近づく。金持ちになったコガネムシは「金蔵を建てた」。が、ミドリムシは出雲の夢をかなえるだけではなく、人類を救うのかもしれない。=敬称略=

(本誌:浪川 攻 =週刊東洋経済2012年2月25日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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