利用者は30代が圧倒的に多い。朝の忙しい時間に服を選ぶ時間が削減されるというのは、女性にとってメリットが大きい。月額6800円というのは高いのか安いのか。サービス立ち上げにあたって天沼氏が悩んだのもこの点だった。高くなれば気軽に利用できないし、低すぎても「安い洋服が送られてくるのではないか」というイメージがつく。数多くの女性にヒアリングしてたどり着いた価格だ。
スタイリングは社内外のスタイリストがすべて手作業で行っている。プロのスタイリストにとっても、これだけ多くの一般女性に対して日常的なスタイリングを手掛けたことはなかったようだ。会員が借りた服のリストはデータとして残り、本人の好みも蓄積される。つまり、一人ひとりの”ファッションカルテ”ができあがるわけだ。スタイリストはそのカルテを基に、ときに大胆な提案をすることもある。「今までの自分のセンスでは出会わなかったはずの服との出合いも楽しんでほしい」と天沼氏は話す。
アパレルメーカーは”協働者”
レンタルサービスが普及すれば、洋服を買わなくなるのではないかという懸念は確かにある。だが、アパレルメーカーからはおおむねポジティブな反応が多かった。「服との価値ある出合いを作っていくのが私たちのサービス。air Closetを通して出合ったブランドの店にお客さまが足を運ぶこともあるわけですから、アパレル業界にとってもある意味、チャンスではないでしょうか」と天沼氏。アパレルメーカーは”協働者”という認識だ。
取り扱いブランドは日に日に増えており、取材したこの日もサンプルを持ったアパレル関係者が同社を訪れていた。創業時に頭を悩ませた保管倉庫の問題も、寺田倉庫との業務提携によってクリア。あとは増え続ける登録者すべてにいち早くサービスが行き届くよう、在庫を増やし、システムを増強することが目下の課題だ。
「待ってくださる皆さんのご要望にできるだけ早くお応えできるように全力を尽くします」と意気込む天沼氏。日本で服のシェアという新スタイルが、生活のスタンダードになる日も近そうだ。
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