「米国一極支配」と「リベラルな国際秩序」は幻だった エネルギーを基軸に組み立てられた政治経済学で読み解く
著者はまた、ヨーロッパにとってのエネルギーの未来を展望し、市民のエネルギー意識が高まれば、「気候変動に立ち向かうことで誰もが利益を享受できるようになる一方、個人輸送の電化と化石燃料価格の高騰によって常に不平等が生じるという矛盾をあぶり出すことで、西側民主主義諸国を貴族主義の過剰に深く陥らせる可能性が高い」と指摘している。
国としての政治的独立
ここで、本書の鍵となる語の一つ「ネイションフッド(nationhood)」について補足して説明しておきたい。それは「国民という観念、あるいは国民存在。国柄(という意味での国体)、国民性、国民の地位、独立国家(の地位)、帰属意識の対象としての国民/国家などの意味を持つ」言葉である。
「ネイション(nation)」は、基本的に「国民」「国家」を意味する両義的な語であるが、文脈に応じて「国民」の意味が強かったり「国家」の意味が強かったりする(ただし、両義は排他的なものではない)。本書では、概ね「国民」の意味で用いられている場合が多い。また「フッド(-hood)」は、一定の状態・性質などを共有する集団・集合体を表す接尾辞である。
西部邁著『ナショナリズムの仁・義』(PHP研究所、2000年)は、ネイションフッドを「ネーション・ステートの別名」であるとしている。「それは、直訳すれば『国柄』という意味の言葉であるが、実際は『国としての政治的独立』をさすとされている。つまり、何ほどか目立った国柄を示す人々の集まりは政治的な独立体を形作るのが普通であるということだ。
我が国の概念語でいいかえると、国体は政体の形成を促し、政体は国体の裏づけを必要とするのである」(37頁)。さらに「ネーション(国)という言葉には文化的な意味が籠もらずにはいない。だからネーションフッドは、ネーション・ステート(国・家つまり国民・政府)の基本的な骨格を意味するとしてよい」(175〜176頁)と説明している。
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