除染ガイドラインに異議あり 目先のコスト論より長期的な配慮が必要

また、重機などを使って効率よく作業を進めるため、また、汚染土の流出を防ぐためにも、仮置き場は平坦地が望ましい。ところが、現実には海岸地区以外のエリアには、廃棄された汚染土を十分に収容できるほどの広い平坦地はない。あっても民家の近くなど、住民の生活圏である場合がほとんど。民家近くに置く場合は1メートルの距離を置き、30センチメートル以上の盛り土をすることになっているが、だからといって、自宅のそんなすぐ脇に汚染土を置きたい住民がいるだろうか。いきおい、住民の同意を得られるのは、人里離れた土地にならざるをえない。

そういった立地では、自然災害のリスクも高まるとの指摘がある。近年では、東北地方も台風の脅威から逃れられない。仮置き場が土砂崩れなどで崩落でもすれば、汚染土壌流出の可能性は非常に高まる。それでなくても、ガイドラインどおりに積み上げたフレキシブルコンテナの上に遮水シートをかぶせると、雨水の重みでコンテナのすき間にシートが沈み込むため盛り土の厚みを保てない、といった声も聞こえてくる。

しかも、先行して除染を始めた地域では、現実の除去土の量は試算に比べほぼ倍になっているという。住民の不安から、想定外の部分まで除去を依頼されるからだ。現時点で確保・想定されている仮置き場でさえ不足することは目に見えている。

コスト重視で残る不安

放射線の専門家の間では、なぜ最初からコンクリートの貯蔵施設を造らないのか、せめてコンクリート容器に収納すれば、という疑問も出ている。厚さ10センチメートル程度のコンクリートならば、最も透過能力の高い中性子線も遮蔽でき、風雨にも耐える。住民にも安心度が高く、小型のコンテナタイプなら、形状が安定しているため運搬もしやすい。仮置き場から中間貯蔵庫に移動する際の、作業者の安全確保も容易だ。移動時の破損などに備えて鉄板で内側を補強したタイプの収納容器もある。

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