
お風呂に入るためには部屋を出て階段を半階分上がることになるが、それでも銭湯に通うことに比べれば便利だったのだろう。
風呂があることで建物前面の通路が狭く、住戸が暗くなっていることから改修では風呂を撤去することも検討したそうだが、解体費が高くつくこと、宿泊で使うためには風呂が必要であることなどからそのままにしておくことになったそうだ。
面白いのはキッチン。床から天井までの棚が作りつけられており、しかも、引き出し、引き違い戸、網入りの戸など入れるものを考慮した設計で、コンパクトながら使い勝手はよさそう。

和室との間には配膳のためだろうか、小窓が設けられている。そこから料理が手渡しされていた風景を想像するとなんだか楽しい。古い団地にはお約束の使われなくなったダストシュートもシンクの横に設置されている。
「魚ん町+」として生まれ変わる
改修が終わっているココトト運営の1階部分は床を下げた開放的なシェアキッチン、シェアリビングが印象的。古い建物の変貌ぶりが味わえる一方で、レトロな雰囲気のトイレも。この後整備されるコワーキング、シェアオフィスも居心地がよさそうな空間だった。
取材時には建物前面通路をイベントなどで使う際に必要なテーブル、ベンチを作るワークショップが開かれており、子どもも含め多くの人が参加していた。この日作った家具類は2025年4月に行われる予定のグランドオープンでお披露目されることになるのだろうか。


魚の町団地改め「魚ん町+」(うおんまちプラス)として動きは始まった。あとはこの建物が地域の交流拠点として、廃団地の活用事例のひとつとしてどれだけ魅力的な場になっていくか。「契約期間の10年はもちろん、その50年先にも残していきたい」という伊東さんの言葉を楽しみにしたい。

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