多摩モノレール「鉄道のない市に延伸」計画の今 箱根ケ崎までの「北側」2025年度に事業着手へ

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同区間は近くに他路線の駅がない、いわゆる「鉄道空白地帯」。延伸区間の沿線となるのは東大和市、武蔵村山市、瑞穂町の3市町で、とくに武蔵村山市は東京都の区市の中で唯一、鉄道駅が1つもないことで知られる。同市内から都心部への公共交通でのアクセスは、路線バスを利用してJR立川駅などへ出るか、または自転車でモノレールの上北台駅などへ向かうのが主流で、不便さは否めない。

武蔵村山市役所の前には、モノレール延伸の早期実現を訴える看板が立つ。近くでタクシーを待っていた80代の女性は「バスやタクシーは時間もかかるし、モノレールが来たらやっぱり便利でしょうね。だいぶ前から『10年後にはできる』とずっと聞かされてきたけど、早く通ってほしい」。住民にとって、延伸はやはり悲願のようだ。

多摩都市モノレール 上北台駅
現在の北側の終点、上北台駅。軌道はホームの先で途切れている(記者撮影)

2025年度に大きく前進

国の交通政策審議会が2016年にまとめた、東京圏の鉄道新線整備の指針となる答申では、上北台―箱根ケ崎間について、モノレールの軌道を通すための道路整備が進んでいるとして、事業化に向け「具体的な調整を進めるべき」とされた。

都は2020年1月に同区間の整備を進める方針を固め、その後手続きを進めてきた。今年2月6日には環境影響評価書が提出され、都市計画案が都の審議会で議決された。都都市整備局都市基盤部交通企画課によると、順調にいけば1カ月程度で都市計画決定される見込みといい、2024年度内には正式に決定されるとみられる。その後は地域での説明会などを経て、「1年後くらいの施工認可を見込んでいる」という。

小池百合子都知事も、2月19日の都議会第1回定例会での施政方針演説で、「多摩都市モノレールの箱根ケ崎方面への延伸は、来年度いよいよ事業に着手いたします」と表明した。2025年度は、延伸に向けてついに本格的な動きが始まることになる。

武蔵村山市役所 看板
武蔵村山市役所にあるモノレール延伸早期実現を訴える看板(記者撮影)
【写真】現在の武蔵村山市内の公共交通はバス。立川バスやコミュニティバスのほか、都営バス最長路線の「梅70」系統も走る
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