与党大敗ドイツの「日本化」が止まらない真の原因 "技術大国"の落日から日本は何を学ぶべきか

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ドイツの総選挙で右派政党が第1党と第2党に躍進。その背景を探ると、日本と共通する課題が浮かび上がってきた(写真:AP/アフロ)

2月23日に実施されたドイツの連邦議会選挙は、直前の世論調査の予想どおり、中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)がトップに立ち、極右政党・ドイツのための選択肢(AfD)が2021年選挙の2倍となる推定得票数20.8%を達成し、2位となった。

CDU/CSUは単独過半数を得ることができなかったが、第2党となったAfDとの連立を否定しているため、連立政権樹立に向けた協議が難航するのは必至。大敗北を喫した中道左派の社民党(SPD)や環境政党・緑の党、自由民主党(FDP)などとの連立を模索し、議会の過半数を押さえる必要がある。

政局の混迷は日本の政界にも通じるところがある。だが、日独両国に共通するのはそれだけではない。日本とドイツで進行する「国力の衰退」の真因がどこにあるのか、探ってみたい。

与党大敗の裏にある2つの失敗

SPD、緑の党、FDPの3党によるドイツ連立政権は、ウクライナへの支援額が膨らむ中、2025年の予算案をめぐって妥協点を見いだせず崩壊。連邦議会(下院)において首相の不信任投票が反対多数で否決され、昨年12月27日に連邦議会が解散された。ドイツで議会解散に伴う総選挙が実施されたのは20年ぶりだ。

今回の総選挙で右派政党が躍進した背景には、2015年に当時のアンゲラ・メルケル政権が100万人を超える難民・移民を受け入れた結果、ドイツ国内で社会不安が増大。テロなどが多発したことがある。

ドイツ西部ゾーリンゲンで2024年8月、難民申請が却下されたシリア人男性がイベントの来場者を刃物で襲い、3人が死亡、8人が負傷。今年に入ってからも、ミュンヘンで群衆に車が突っ込み、少なくとも28人が負傷し、うち2人が死亡と報じられた。当局は、アフガニスタン出身の難民認定の申請者を拘束したと発表した。

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