ホンダの創業者である本田宗一郎さんは、かつて「レースは走る実験室」だと語り、現在もホンダはモータースポーツを継続する。そう考えると「のりもの好き」という熱量ではトヨタとホンダはかなり近しいのではないか。
とはいえ、夢は原資があるから追い続けられる。トヨタは世界一の販売実績をもつ自動車メーカーだからこそ、継続的なレース活動やクルマ文化の醸成に精励できる。
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4兆1003億円(利益率11.5%)。これは2025年3月期第3四半期(2024年4~12月)として2025年2月5日に発表されたトヨタの純利益額である。2024年4月~2025年3月までの見通しは4兆5200億円(9.6%)を見込む。
本来であれば、これだけの積み上げがあるのだから余裕ある決算説明会になってもいいのだが、オンラインで会見に出席した筆者の眼からすれば経営陣の面持ちは沈着冷静で、自社の進むべき方角を鋭く見定めているように映った。同時に、この張り詰めた緊張感は、のりものファンの心をつかみ続けるために必要な攻めの経営を継続するのだ、という強い意気込みの表れだと受け取った。
GRカローラの進化を体感する雪上試乗会
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決算説明会から1週間後、苗場スキー場(新潟県南魚沼郡)の特設コースで「進化したGRカローラ」を体感した。従来型との比較に加え、TGRが「進化型」と称する新しいGRカローラにも雪上で試乗することができた。
もっとも、取材の場はGRブランドのさらなる認知度向上を主な目的として設けられ、試乗コースは300m弱/周、走行時間にして30秒程度に抑えられた。試乗は6速MT(568万円)と新たに加わった8速AT「GR-DAT」(598万円)の2タイプで2周ずつと、これまた限定的な内容だ。

控えめの開催にとどまった要因は前週に降った豪雪だ。昨年同時期に同場所で開催された「GR-FOUR雪上試乗会」では雪不足に悩まされたが、今年は豪雪。これにより会場設営がまともに影響を受け、ストップ&ゴー的な試乗コースに変更された。よって今回は試乗というよりも進化型GRカローラとの対面式、といった図式にとどまったのだ。
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