標準体型でも注意!専門医が語る「糖尿病」の兆候 筋肉が脂肪に置き換わる"隠れ肥満"リスクとは?

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太っていなくても糖尿病になる理由は、欧米人と比較して、日本人は血糖値を下げる働きをするホルモンの「インスリン」を出す力が弱いから。実際、白色系欧米人はインスリンの分泌能力が、日本人を含むアジア系民族の約2倍高いといわれます。

血糖値は1日の中で変動しています。食事をすると血糖値が上がり、それを下げるためにすい臓から分泌されるのがインスリン。欧米人はこのインスリンを出すパワーが強いため、たくさん食べても血糖値を速やかに下げられるのに対し、日本人の場合はインスリンを十分に出せずに血糖値が高い状態が続きやすいのです。

こうした体質の違いがあるため、欧米人の糖尿病は巨漢な人の比率が高いのに対し、日本人では体重や体形と一概にリンクしないケースが多いです。

ですから、やせているから糖尿病にならないという誤った認識を持っていると、治療のタイミングが遅れることにもなります。

筋肉が減ると高血糖になりやすい3つの理由

日本人の糖尿病リスクとして、インスリンを出す力が弱いことに加えて、あるものが減るとそのリスクはさらに上がります。それが「筋肉」です。筋肉は年を重ねるにつれて減りやすく、実はこの影響で高血糖になることがあります。

筋肉を動かすときにはエネルギーが必要です。そのエネルギー源として、筋肉は血液中の糖を取り込み、エネルギーに変えています。だから筋肉が少なければエネルギーとして使われる糖が減り、血液中の糖を減らしにくくなります。

それだけではありません。筋肉はインスリンの作用で血糖を筋肉内に取り込んで「グリコーゲン」という形にして貯蔵する働きがあります。これによって、血中のブドウ糖が増えすぎないように調整しています。しかし筋肉量が減れば、グリコーゲンとして糖を貯蔵する受け皿が減り、血中にブドウ糖が増えるのです。

さらにもう1つ理由があります。筋肉が多ければ、安静状態での呼吸や心拍、体温維持、細胞の修復など、生きていくために最低限必要なエネルギーである「基礎代謝」が増えます。筋肉は肝臓や脳に次ぐ基礎代謝量を誇りますが、筋肉量が減れば基礎代謝量が低下。太りやすくなるわけです。

脂肪が増えれば、さらに悪循環になります。

というのも、脂肪細胞から炎症を引き起こすアディポカインといった物質が分泌され、インスリンの働きを邪魔します。その結果、インスリンの効きが悪くなってさらに糖を筋肉に取り込む力を低下させ、血糖値が高い状態が続くのです。

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