標準体型でも注意!専門医が語る「糖尿病」の兆候 筋肉が脂肪に置き換わる"隠れ肥満"リスクとは?

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筋肉量が減少する「サルコペニア」をご存じでしょうか? サルコペニアは、加齢によって「筋肉量の減少」「筋力の低下」「身体能力の低下」がある状態のこと。ギリシャ語で筋肉を意味する“サルコ(sarco)”と喪失を意味する“ペニア(penia)”の造語です。

筋肉が減ってエネルギーとして使われる糖が減れば、血液中の糖が増えます。エネルギーとして使われずに過剰になった糖は、中性脂肪として体に蓄えられていきます。

そうした脂肪はやせた筋肉繊維の隙間にも入り込んで、“牛肉のサシ”のような筋肉を増やし、この状態を「サルコペニア肥満」と呼びます。

一般的に筋肉が脂肪に置き換わっていても、体重や体形は若い頃とあまり変化がないことが多いため、BMIでは判断できず、自覚症状も少ないです。

体重や体形に変化がなくても、筋肉は加齢によって減っていって、体重は標準なのに、体脂肪が多い「隠れ肥満」になっているケースはたいへん多いです。

気づかないままに、やがて「サルコペニア肥満」になり、血糖値の調整力も下がっていきます。

筋肉を増やすには1食20gのタンパク質を

40代を過ぎれば、体重だけではなく、「筋肉の衰え」にも気を配りたい理由はそこにあります。

もしもあなたが“隠れ肥満”の“高血糖”なら、今すぐ始めるべき食べ方があります。

まず間違えてほしくないのは、食べると太ると思って、やみくもに食事量を減らすことはNGです。実は、栄養不足も「サルコペニア肥満」の要因。

筋肉不足を解消するには、筋肉の材料になるタンパク質をしっかり摂りましょう。タンパク質は肉、魚、卵、大豆食品、乳製品に豊富に含まれます。

さらに、タンパク質は貯蔵がききにくい栄養素です。体重60kg程度の人の場合、1食20g程度のタンパク質を摂るのが理想で、毎食こまめに食べることが大切です。

夜間にも筋肉の分解は進むので、特に朝食でタンパク質が不足しないようにしましょう。

朝食では卵料理や納豆を加える、飲み物に牛乳や豆乳を加えるなど、ちょこちょこタンパク質を摂れる食品をプラスするのがおすすめ。食事から摂取する分には、タンパク質の摂りすぎが問題になることはまずありません。

一方で、一度にたくさん摂っても筋肉の増量にはつながりません。食事で摂ったタンパク質から筋肉を合成できる量には上限があるのです。だから、こまめに摂ることがポイントになります。

肉や魚なら手のひら大でタンパク質20g程度と覚え、卵や乳製品、大豆食品も組み合わせて食べるようにするといいでしょう。

なお、レッドミートに分類される牛肉、豚肉、ラム肉などはエネルギー量が多く、飽和脂肪酸も多く含まれるので、糖尿病や心臓病のリスクを高める可能性が指摘されています。食べてはいけないわけではありませんが、ホワイトミートに分類される魚やとり肉を優先すると、よりヘルシーです。

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