オーラル・ヒストリーで辿る村松岐夫の研究人生 ある行政学者が語る「戦後政治学の展開」50年
村松さんのご専門は言うまでもなく行政学なわけですが、本の中で次のようにも述べています。
そして政治学への関心が高まり、さらには、海外への情報発信という意識の土壌ができて、後の『レヴァイアサン』の創刊につながったのかなと想像すると、感慨深くもあります。
国会議員調査・官僚調査の背景
さて村松さんは、こうして「日本政治をやろう」と思って帰国したものの、具体的にどうやって研究を進めていったらいいかわからず悩んでいたと言います。そんな時、京都河原町で政治学者の三宅一郎さんにばったり行き会います。
その時のことを村松さんは、「ボヤっと河原町通りを歩いていて出会った三宅さんに、『どうしていいか方向がわからなくて困っています』と打ち明けた」と語っています。
それが、「三宅さんの『京都市民意識調査』への参加」につながり、さらには村松さんの代名詞とも言える、その後の3次にわたる国会議員調査・官僚調査につながっていった。
偶然得た「機会」を「挑戦」に、そして結果に結びつけた村松さんのすごみのようなものを感じます。
ところで、私の師匠は西尾勝(東京大学名誉教授)という人で、村松さんとは同世代、村松さんを「西の巨匠」とするならば、「東の巨匠」と言うべき行政学者です。
西尾先生は助手論文でニューヨークを中心としたアメリカの大都市の行政について書きましたが、1967年から1969年にアメリカに留学されていて、1966年から1968年に留学された村松さんと時期がかぶっています。
西尾先生は東海岸、村松さんは西海岸と、行き先は違っていて、その後のお二人の関心も違っていきます。
村松さんの本のように商業出版はされていないのですが、西尾先生にも「オーラル・ヒストリー」があります。
西の巨匠・村松岐夫と、東の巨匠・西尾勝の研究業績や人生を対照して論じるような研究がこれから出てきたらいいな、と期待しています。そして、お二人のオーラル・ヒストリーはその糸
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