若い世代が続々入居する「いい感じ」な団地の秘密 埼玉・草加市 シェア工房や菜園・ピザ窯付き
「草加市さんも問題視していますが、そもそも草加って『寝に帰るだけのまち』といわれていて、まちとしての魅力が乏しいという課題があったんです。お住まいの方も家賃重視で選んでいて、愛着が湧きづらい。
従来のコミュニティもやせ細っていくなかで、どうやったらまちを活性化していけるかというのを、草加市さんと共にディスカッションし、プロジェクトを進めました」(根本さん)
昭和と令和のいいとこ取り
建物やまちとしての課題がありつつも、昔ながらの「社宅」には、近年の建物や敷地計画にはない魅力があったといいます。
「間取りは2DKで、広さは54平米ほど。余裕があるので、二人暮らしや小さなお子さんがいる子育て世帯にちょうどよいですよね。都心部でこの広さを借りようと思うと家賃は割高になりますが、ここであれば家賃も抑えられます。
また、建物と建物の間が離れていますが、これも今の物件にはない魅力・ゆとりです。ここを強みとして敷地計画や室内のリノベをすることにしました」と話すのは、東武鉄道で企画開発を担当する寺﨑さん。
実際の設計を手掛けたのは、建物や不動産の再生・利活用に定評のあるスピーク。広さや余裕を活かして、1階は専用庭付き、4階は思い切りインダストリアルな空間など、思い切ったプランニングにしました。
一方で、現代の暮らしの快適さをかなえるべく、窓に遮音対策として真空ガラス「スペーシア」を採用。水まわりには新しいシステムキッチン&バスなどをいれています。新しくなった設備&床材、古さを活かしたデザインなど、昭和と令和の「いいとこどり」な空間デザインとなっています。
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もうひとつ、交流を生む仕掛けとして、敷地と周囲を囲んでいた柵を撤去し、中庭を地域のリビングとしてデザインし直しました。近所の人が入って来れるようにシンボルツリーを中心に、コミュニティファームやピザ窯、ウッドデッキ、築山などがあり、自然と回遊&過ごしたくなる仕掛けになっています。
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