若い世代が続々入居する「いい感じ」な団地の秘密 埼玉・草加市 シェア工房や菜園・ピザ窯付き
また、「リノベーションスクール」の参加者の一人である小島瑞紀さん(通称こじまるさん)は、リノベーションスクールでのワーキングを通じて、「ミノリテラス草加」の運営に関わりたいと決心し、現在は、現場に常駐するコミュニティマネージャーとして活動しています。
こじまるさんの当面の目標は、ご近所同士、心地よい温度感、お付き合いの密度を見つけ、住人のみなさんが主体的にイベントや交流の機会を生み出し、「自分たちの団地」「居場所」と思ってもらえるようにすることだそう。
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このほかにも、他の区画には、いつかは地元草加で飲食店を開業したいと考えていたイタリア料理店の「Tacasi」や、こどもが自由な発想で自由に過ごせる場「つなぐばもどき」、誰でも気軽に利用できるシェア工房「草加文化室」などが開業しました。
今まで、「寝に帰るまち」と思われていた草加ですが、実は、草加の地を愛し、草加で自分の目標を成し遂げたい多くの人が眠っていたんですね。こうした草加の才能を巻き込んでいったことで、かつてないワクワクが生まれていったそうです。
しかし、最後の難関が立ちはだかります。それは、入居者集め。当初は想定通りに入居者が集まらず、東武鉄道としてはヒヤリとしたこともあったそう。
「2024年春に募集を開始したんですが、周辺の家賃相場より1万円~2万円程度割高。駅徒歩9分ということもあり、内心とてもヒヤヒヤしていました……。ただイベントの開催や施設のPRを続けることで徐々に知名度が上がり、最終的には竣工してから半年間で満室となりました。
それも20代、30代と東武鉄道として沿線に住んでもらいたかった若い世代です。住まい選びの決め手として、オンラインで仕事をするので部屋に広さがほしい、中庭が気に入った、コミュニティマネージャーがいる暮らしに興味をもったと聞いています」(根本さん)
数字や言葉にはならない「いい感じ」
では、実際の住み心地はどんな感じなのでしょうか。A棟に入居した上村亮平さん・紗季さんご夫妻に聞いてみました。
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「転居のきっかけは、結婚のために広い住まいに引っ越したいというものでした。SUUMOで物件を見かけて内見にきたんですが、そのときにコミュニティマネージャーのこじまるさんとたまたまお話しできて。ここで自分たちが暮らすイメージが持てて、ココしかないねと決めました」と亮平さんは話します。