金融犯罪被害の防止やマネロン対策に本腰を入れる政府。金融庁も緩い対応は許さないとの姿勢を金融機関に示す。
![金融庁とイオン銀行](https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/e/8/1140/img_e88980c1a51d83bf00442470b94cd5ae262212.jpg)
2025年1月。小売りから総合金融事業まで展開するイオングループの各社で経営幹部の処分が発表された。
イオンの岡田元也会長と吉田昭夫社長、渡辺広之副社長はそれぞれ3カ月、基本報酬の30%に相当する額を減給処分。グループの金融サービスを統括するイオンフィナンシャルサービスの藤田健二社長は解職、イオン銀行の小林裕明社長は解任された。
処分対象者はこれら執行役だけで14人に上る。各社の常勤監査役も月額報酬30%の1カ月分を自主返納すると申し出た。これだけの大ごとになった原因は、イオン銀行におけるマネーロンダリング(資金洗浄)対策の不備にある。イオン銀行は昨年末に金融庁から業務改善命令を受けた。
金融庁が実態調査で狙うこと
近年、金融犯罪による被害が著しく増えている。
警察庁が2月7日に公表した2024年の被害発生状況(暫定値)などによると、「特殊詐欺」「SNS型投資・ロマンス詐欺」「インターネットバンキング不正送金」の金融犯罪3類型の被害合計額は2023年の倍以上となる2071億円に達した。
もう1つの類型であるクレジットカードの不正利用被害額も9月末までで392億円となっており、こちらも過去最悪だった2023年並み(540億円)に悪化しそうだ。
金融犯罪は国民の財産を脅かすだけではない。不正に入手したいくつもの銀行口座を使ってマネロンを行い、犯罪集団やテロ組織の活動資金にもなっている。
事態を重くみた政府は2024年6月、「国民を詐欺から守るための総合対策」を発表。金融庁も同年8月、すべての預金取り扱い金融機関に対して、大きく6項目からなる預貯金口座の不正利用対策を要請し、「不正取引の早期検知」などを求めた。
年明け以降、金融庁は昨年8月の要請に沿った不正利用対策の実態調査に乗り出している。
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