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「イオン銀行処分」が示すマネロン対策に猶予なし 金融庁が不正口座対策の「実態調査」に乗り出した

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金融犯罪被害の防止やマネロン対策に本腰を入れる政府。金融庁も緩い対応は許さないとの姿勢を金融機関に示す。

金融庁とイオン銀行
金融庁によるイオン銀行に対する業務改善命令はイオン本体の経営陣の処分にまで発展した(左写真:梅谷秀司撮影、右写真:今井康一撮影)

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2025年1月。小売りから総合金融事業まで展開するイオングループの各社で経営幹部の処分が発表された。

イオンの岡田元也会長と吉田昭夫社長、渡辺広之副社長はそれぞれ3カ月、基本報酬の30%に相当する額を減給処分。グループの金融サービスを統括するイオンフィナンシャルサービスの藤田健二社長は解職、イオン銀行の小林裕明社長は解任された。

処分対象者はこれら執行役だけで14人に上る。各社の常勤監査役も月額報酬30%の1カ月分を自主返納すると申し出た。これだけの大ごとになった原因は、イオン銀行におけるマネーロンダリング(資金洗浄)対策の不備にある。イオン銀行は昨年末に金融庁から業務改善命令を受けた。

金融庁が実態調査で狙うこと

近年、金融犯罪による被害が著しく増えている。

警察庁が2月7日に公表した2024年の被害発生状況(暫定値)などによると、「特殊詐欺」「SNS型投資・ロマンス詐欺」「インターネットバンキング不正送金」の金融犯罪3類型の被害合計額は2023年の倍以上となる2071億円に達した。

もう1つの類型であるクレジットカードの不正利用被害額も9月末までで392億円となっており、こちらも過去最悪だった2023年並み(540億円)に悪化しそうだ。

金融犯罪は国民の財産を脅かすだけではない。不正に入手したいくつもの銀行口座を使ってマネロンを行い、犯罪集団やテロ組織の活動資金にもなっている。

事態を重くみた政府は2024年6月、「国民を詐欺から守るための総合対策」を発表。金融庁も同年8月、すべての預金取り扱い金融機関に対して、大きく6項目からなる預貯金口座の不正利用対策を要請し、「不正取引の早期検知」などを求めた。

年明け以降、金融庁は昨年8月の要請に沿った不正利用対策の実態調査に乗り出している。

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