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初代マネロン対策室長が語る金融犯罪の闇と対策 尾崎氏「対策の本質はダメージコントロール」

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銀行から金融庁に転じてマネロン対策を担った尾崎寛氏。その道のプロが今、金融機関に求めることとは。

尾崎寛氏
KPMGジャパンの尾崎寛エグゼクティブアドバイザー。「情報連携がうまくいけば、犯罪組織の不正口座を一網打尽にできる」と語る(撮影:尾形文繁)

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非対面取引の拡大などを背景に、金融犯罪被害が急速に増えている。政府は6月に総合対策を公表して国民を詐欺から守るための施策を示し、金融庁も金融機関に対して不正口座対策の強化を要請した。

政府や金融機関にはどのような取り組みが求められるのか。2018年から4年間、金融庁で「マネーローンダリング・テロ資金供与対策企画室」(現・金融犯罪対策室)の初代室長を務めたKPMGジャパンの尾崎寛エグゼクティブアドバイザーに、いま取り組むべきマネロン(資金洗浄)対策の要諦を聞いた。

【インタビューでの主な質問】
Q 金融機関はどのような対策強化を求められていますか?
Q 銀行口座を経由して暗号資産へと洗浄されるケースが増えているのはなぜ?
Q FATFの第5次対日相互審査ではどのようなことが課題に?

――コロナ禍以降、金融犯罪が拡大しています。

日本だけではなく、グローバル規模で金融犯罪が拡大している。コロナ禍を契機に取引の流れが非対面中心となり、犯罪組織に非対面やサイバー空間の脆弱性を突かれてしまった。そしてSNSの普及によって、口座売買や闇バイトなどの情報伝達が早まり、若者を中心に金融犯罪に加担する人を増やしてしまっている。

政府は6月18日に「国民を詐欺から守るための総合対策」を示し、金融庁と警察庁も8月23日に対策の強化を金融機関に要請した。そこにもあるとおり、まずは口座売買が犯罪であることを国民に周知する必要がある。

中には犯罪であることを知りながら、複数の金融機関の口座を転売目的で開設している人もいる。券面を偽造したマイナンバーカードによって、本人確認を突破されているケースもある。口座開設後の取引モニタリングも含めて、金融機関には一層の対策の強化が求められる。

犯罪組織との闘いの連続

――金融庁は「マネロンガイドライン」で求めている対応の完了期限を今年の3月末とし、完了率は99%に達したと発表しています。それにもかかわらず金融犯罪が拡大しているのはなぜだと思いますか。

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