金融犯罪被害が急拡大する中、金融庁が求める対策も異なる次元に引き上げられた。

金融庁が8月23日に出した「要請」(写真下)には「規模・立地によらず」という一文(記者撮影)
「こういう書き方の要請は初めてかもしれない」。8月23日、金融庁は警察庁との連名で全金融業態の業界団体を通じて、すべての金融機関にある要請を発した。内容は、法人口座を含む預貯金口座の不正利用対策について、一層の強化を求めるものだ。
そこに、これまでの金融庁の言い回しとは異なる一文が入っている。「規模・立地によらず」というフレーズだ。
これまで金融庁では、「規模・特性等を踏まえて」という言い回しが非常に多く使われてきた。メガバンクと地銀・信金では、経営規模やビジネスモデルがあまりにも違うため、同様の取り組みを求めることが合理的ではないからだ。
言い回しを変えた背景
だが、犯罪集団からすれば、インターネット上にある口座で送金や入出金ができれば、どの金融機関でも構わない。むしろ対策の弱いところほど好都合だ。「今回の要請に関しては、規模・立地によらず必要な取り組みをしてもらう」(金融庁幹部)。
金融機関に求められるマネーロンダリング(資金洗浄)対策が、異なる次元に引き上げられた瞬間だ。
この記事の特集
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら