名古屋に「担々麺」を提供する店がなぜ多いのか 20年前から営業する担々麺専門店「想吃担担面」
追い飯と聞いて、台湾まぜそばをイメージした人も多いと思う。台湾まぜそばは名古屋市中川区に本店がある『麺屋はなび』の総大将、新山直人氏が2008年に考案したものだが、「想吃担担面」はそれよりも早い時期に追い飯という食べ方を提案していたのである。
「もともと私も料理人ですので、おいしいものを作れば売れると思っていたんですよね。しかし、そうではなかった。担々麺の存在を知ってもらうにはブランディングが必要だったのです。おかげで4年目くらいから徐々に客足が伸びていき、お昼時には行列のできる店になりました」(中島さん)
濃厚でピリ辛の味付けが名古屋人にマッチ
現在、「想吃担担面」は1号店のエスカ店のほか、名駅南店と名駅地下店、栄店、赤池店と全5店舗を展開している。中島さんによると、担々麺の専門店や担々麺を提供するラーメン店が増えたのは10年ほど前かららしい。
「想吃担担面」の成功を目の当たりにして、二匹目のドジョウを狙ったのだろうと思い、筆者はいろんな店へ汁なし担々麺を食べに行ったが、「想吃担担面」と同様に平打ち麺を使っている店もあれば、汁ありと同じ細麺や全粒粉を使った太麺など差別化を図っている店もあった。味付けもラー油が強めだったり、花椒が入っていなかったりとさまざまだったが、濃厚な芝麻醤の味と香りが主役であることが共通点だった。
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汁なし担々麺は広島でも名物になっていて、筆者も広島を訪れた際に何度か食べた。しかし、芝麻醤の味や香りよりも唇の感覚がなくなるほど花椒の刺激が強くて、名古屋の汁なし担々麺とはまったくの別物だと思った。
昔、ある四川料理店のオーナーから冗談交じりにこんな話を聞いたことがある。
「担々麺の上にのる肉味噌は中国の調味料、豆鼓で味付けするんだけど、たまたま豆鼓を切らしたときに、その代用として八丁味噌を使ったことから、担々麺は名古屋人が好んで食べるようになったんだよ」というもの。
かなり眉唾ものだが、台湾ラーメンやあんかけスパゲティのように、濃厚でピリ辛の担々麺の味付けが名古屋人の味覚にマッチしたからこそ、担々麺を出す店が増えていったのだろう。ひつまぶしや味噌かつなどの名古屋めしもよいが、名古屋へ来たら担々麺、とくに汁なし担々麺を是非味わってほしい。
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