熊本の「交通系IC全部廃止」は東京でも起こるのか 「きょうからSuica、使えないモン!」な事態に

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熊本県と同様に「交通系ICが使えなくなる」事態が、間もなく広島県で起こる。交通系ICにも対応していた地域交通カード「PASPY(パスピー)」が2025年3月29日にサービスを終了するのにしたがって、交通系ICが使用できなくなる地域が出てくるのだ。

パスピー
トモテツバスのパスピー(写真:筆者撮影)

広島県でも存続は「更新費用」がネックとなったが、熊本と少しばかり事情が違う。こちらは独自の交通系ICカードを立ち上げたが故の「7~8年ごとに約50億円」という更新費用がネックとなり、半分ほどを負担していた県内最大手・広島電鉄の脱退表明に他社が抗えず、最終的にカード自体のサービス終了を余儀なくされている。

後継サービスとして、QRコードで乗車できる「MOBIRY DAYS(モビリーデイズ)」が開発されたものの、アストラムライン・広島バスなどはモビリーデイズ対応と並行して交通系ICにも対応し、中国バス・トモテツバスなど数社はモビリーデイズを導入せずに交通系ICに対応した。

例えるなら“パスピー連合軍”が費用の問題で空中分解し、「モビリーデイズを格安運用したい派」「両にらみで交通系ICの対応を残したい派」「交通系ICだけ対応派」に分かれた、というところか。

また石川県(北陸鉄道グループ)、茨城県(茨城交通の路線バス部門)のように、要望の多かった交通系ICではなくタッチ決済の導入を優先するケースも出てきた(北陸鉄道は「城下まち金沢周遊バス」のみ交通系IC対応)。

両社とも地域カード(北陸鉄道「ICa(アイカ)」、茨城交通「いばっピ」)だけでなく観光客・インバウンド向けのキャッシュレス手段を検討しつつ、維持コストが高い交通系ICを避け、国や「外国人誘客事業」などの補助でタッチ決済を採用。事情はだいたい似通っている。

どう推移する?「交通系IC vs タッチ決済」

さて、今後の「交通系IC vs タッチ決済」は、どう推移するだろうか?

熊本県に限らず、地方では「更新費用の壁」を越えられず全撤退する鉄道・バス会社が出てくるだろう。そもそも地方では、東京の朝ラッシュを想定した「0.2秒で反応、改札を通過」という交通系ICの性能は必須でなく、処理速度0.5秒程度のタッチ決済でも、十分に役割を果たせる。

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