国鉄ローカル線を引き継いだ「三セク鉄道」の軌跡 北海道から九州まで、開業時の熱気と高揚感

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熊本県の南阿蘇鉄道もSL時代に初訪問し、三セク化後も通い続けている路線である。ローカル線ファンには名勝といえる路線で、特定地方交通線に指定された際は鉄道としての存続は厳しいのではないかと思ったが、地元の熱意で1986年4月1日に三セク鉄道として再出発した。2016年の熊本地震で甚大な被害を受けたが2023年7月に全線復旧し、鉄路を守ろうという地域の力が強く感じられる路線だ。

南阿蘇鉄道 トロッコ列車
南阿蘇鉄道のトロッコ列車(撮影:南正時)

「応援したくなる」ローカル線の魅力

ほかにも魅力ある三セク鉄道は数多い。もともと国鉄・JRから輸送密度の低さを理由に切り離された路線だけに「超ローカル線」である場合がほとんどだが、取材で訪れた際の地元の人々との交流や何気ない風景にひかれ、応援したくなるのは地元密着の鉄道ならではの魅力である。

由利高原鉄道
国鉄矢島線を引き継いだ由利高原鉄道の開業直後、列車に手を振る子どもたち(撮影:南正時)
【もう一度写真で振り返る】北海道から九州まで、全国各地の国鉄赤字路線を引き継いだ第三セクター鉄道の姿。今は見られない車両や廃止された路線も

また筆者にとっては、三セク鉄道の取材は前述の檀上さんや、レイルウェイ・ライターの種村直樹さん、かつての『鉄道ジャーナル』誌編集長の竹島紀元さんとの仕事が多く、そういった方々との思い出も深く残っている。

近年、これらの国鉄・JRから転換された三セク鉄道は活性化への努力を続けているものの、以前に比べて勢いを失っていると感じることが多い。人口減少や過疎化の進展もあるが、利用者の世代交代で開業時の熱意が薄れているという面もあるだろう。引き継がれた鉄道を今後も生かすため、沿線のみならず旅行者やファンも応援していきたいところである。

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南 正時 鉄道写真家

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みなみ・まさとき / Masatoki Minami

1946年福井県生まれ。アニメーターの大塚康生氏の影響を受けて、蒸気機関車の撮影に魅了され、鉄道を撮り続ける。71年に独立。新聞や鉄道・旅行雑誌にて撮影・執筆を行う。

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