国鉄ローカル線を引き継いだ「三セク鉄道」の軌跡 北海道から九州まで、開業時の熱気と高揚感

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福島県の会津鉄道も、JR最終日と三セクとしての開業日、両方に立ち会った鉄道だ。同線もSLを追っていた1970年代に初めて取材し、それ以降沿線風景や地元の人々の人情に魅せられて何度も訪れた。現在も半年に一度は通っている路線である。

国鉄会津線 さよなら列車
JR会津線のさよなら列車=1987年7月15日(撮影:南正時)

現在は浅草から東武鉄道の特急「リバティ会津」が会津田島まで乗り入れ、首都圏と直結している同線だが、1986年10月に野岩鉄道が開業する前の、国鉄時代の会津滝ノ原(現・会津高原尾瀬口)はまさにどん詰まりの「秘境」と呼ぶべき駅だった。それが三セク化後は会津田島まで電化され、地元の温泉旅館などをはじめとする観光関係者も非常に熱心なPRを繰り広げ、驚くべき発展を遂げた。

新型気動車6両を連ねた試運転

同鉄道で印象に残っているのは、三セクとしての開業前の「試運転」だ。会津鉄道の人にどんな編成で走るのかと聞くと、「なるべく長い編成で走らせる」というので、その場にある車両を全部連結したらどうですかと話した。そして、なんと新型気動車6両を連ねた試運転列車が走った。三セク開業前ならではの貴重な場面であろう。

地方のローカル線である三セク鉄道が一般にも注目された理由の1つとして車両が挙げられる。会津鉄道もそうだが、それまでの画一的な国鉄車両と異なり、各鉄道が工夫を凝らした斬新なデザインの新型気動車が投入された。

会津鉄道 気動車6両編成
気動車6両を連ねた会津鉄道の試運転列車(撮影:南正時)
【写真】三セク鉄道の新車の中でも屈指の豪華さだった北近畿タンゴ鉄道の「タンゴエクスプローラー」。JRや大手私鉄顔負けのハイデッカー特急車だ
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