国鉄ローカル線を引き継いだ「三セク鉄道」の軌跡 北海道から九州まで、開業時の熱気と高揚感

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その代表格は「レールバス」であろう。三陸鉄道に次いで2番目の三セク転換路線となった岐阜県の樽見鉄道が導入した、バスの車体部品を活用した2軸車のレールバス・ハイモ180形は当時の新型観光バスのような大きな窓のデザインで、新時代のローカル線を印象付けた。

樽見鉄道 ハイモ180 開業記念列車
樽見鉄道の開業記念列車。ヘッドマークにも「レールバス」の文字が見える(撮影:南正時)

実は筆者としては、廃止対象だった超ローカル線に近代的なデザインの車両が走ることに最初はやや戸惑った。だが、三セクに転換されたローカル線の魅力は車両そのものというよりも、鉄道を取り巻く風景や支える地元の人々とのふれあいである。樽見鉄道も沿線風景に魅せられ、三セク転換後何度も訪れた。

樽見鉄道 客車列車 DE11 旧型客車
樽見鉄道はディーゼル機関車が牽く客車列車も走っていた(撮影:南正時)

続々開業した三セク鉄道

このほかにも思い出深い三セク鉄道は多い。開業日を取材した路線はほかにもいくつもあるが、群馬県のわたらせ渓谷鉄道もその1つである。

同鉄道は平成に入った直後の1989年3月29日に開業し、国鉄・JR時代は足尾線といった。筆者は、国鉄が全面協力して同線で撮影された森繁久彌主演の映画『喜劇 各駅停車』(1965年東宝・井上和男監督)を見て訪れたのが最初だった。三セク化後も毎年訪問している好きな鉄道の1つだ。

わたらせ渓谷鉄道 開業記念式典
わたらせ渓谷鉄道の開業記念式典=1989年3月29日(撮影:南正時)
【写真】わたらせ渓谷鉄道のお座敷客車「サロン・ド・わたらせ」。元JR東日本のジョイフルトレイン「やすらぎ」だ
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