空前のコメ不足発生、流通で陰る"農協の支配力" 727万トンの4割をJAなどが集荷しているが…
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農家から集めたコメは、品質が同じでも、販売する時期や取引先によって価格は変わる。そうした条件の違いによる不公平が生じないよう、農家への精算は一定期間の平均価格によって行う。これが共同計算だ。
JAを構成する組合員は大半が零細な兼業農家であり、自ら販売や精算をする力がない。無条件委託販売と共同計算はそんな組合員から、JAがほかの買い手より優位にコメを集荷する仕組みとして機能してきた。同時に、JAは国に働きかけて減反政策を維持させることで高い米価を演出し、零細農家の離農に歯止めをかけてきた。
落ち込む集荷率
ただ、流通全体に占めるJAの集荷率は落ちている。04年に45%だったのが、22年には39%になった。片や増えてきたのが農家による直販で、04年に26%だったのが22年に32%になった。
これは時代の趨勢といえる。高齢化で離農が一気に進んでおり、残る農家は規模の拡大による経営体力の向上へ努力を始めている。一部の買い手はそうした農家に、JAが収穫期に業界で先駆けて示す一時払いの「概算金」よりも高値を提示するほか、即時での現金決済に対応することで支持を得てきた。EC(ネット通販)やふるさと納税の登場も、農家による販路の拡大につながった。
24年夏に起きた令和の米騒動以降、JAの集荷率は一層落ち込みつつある。JA以外の買い手が、JAが示した概算金よりも高値を提示しているからだ。さらに新たな買い手が次々と争奪戦に加わったことで、JAは計画どおりにコメを集められなくなった。業界関係者によると、流通全体におけるJAの集荷率は24年産で前年産より約1割減になる見込みだという。
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