「業務スーパー」中に入ってわかった製販一体の強み 川上から川下まで、安さで消費者を引きつける

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業務スーパーの店舗外観
(写真:編集部撮影)
企業がどこからどれだけ調達しているか。そしてどこに販売しているか。『週刊東洋経済』2月22日・3月1日合併号の特集は「もうけの仕組み 2025年版」。会社四季報記者が日頃の取材や産業連関表を基に、56業界のサプライチェーンを“見える化”した。
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大量にゆでられた後に冷凍されたうどんが、ベルトコンベヤーで運ばれ、次々と包装されていく──。

滋賀県竜王町にある秦食品の工場では「業務スーパー」に供給する冷凍うどんやポテトサラダ、ドレッシングを生産する。中でも冷凍うどんは「業務スーパー」の人気商品で、同社の生産量が最も多い。1玉200グラムのうどん5玉入りを100円台で販売する「冷凍讃岐うどん」は、メーカー品が200円台の中、安さで消費者を魅了しているからだ。

うどんは原料の種類が少なく、差別化しづらい。そこで製造現場では製造ラインでの省人化や製造する食品の無駄を発生させない工夫で低価格を追求する。工場での生産量が年々増加する一方、ラインに配置する人数は減少させている。一般的な食品工場よりも売上高人件費率は低い。

独自のサプライチェーンを構築

業務用で大容量の冷凍食品や独自の加工食品を販売する業務スーパーは全国で1084店(2024年10月期末)に及ぶ。その業務スーパーをフランチャイズ形式で運営するのが神戸物産だ。安い食品を提供できるよう、店舗数のスケールメリットを生かして、自社開発によるプライベートブランド(PB)商品や、原料の仕入れ、製造、FC加盟店舗への卸売りまで一元管理する独自のサプライチェーンを構築する。

そうしたことで実現する「ローコスト運営」はあらゆる面で徹底されている。基本、工場で使う原料の仕入れや輸入は神戸物産が担う。大量に仕入れた後、原料は子会社の食品工場各社に納品する。冒頭の秦食品もその子会社の1つだ。食品工場でPB商品が生産されたのち、自社の関西物流センターなどを経て各店舗に届けられる。

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