アップル不在でも、参加者が増加した今年のマックワールド/iWorld
3700万台以上のiPhoneを売り、2012年第1四半期(2011年10~12月)に過去最高の売り上げを記録し、前期比で純利益を2倍以上に上げた破竹の勢いのアップル。今年に入ってからは、1月19日にニューヨークのグッゲンハイム美術館で電子版教科書を約15ドル以下で販売すると早々に発表。今年もアップルが市場の話題を独占しそうな勢いだ。
1月26日から28日、サンフランシスコで恒例のアップル関連展示会「マックワールド/iWorld」が開催された。10年以降、アップル自身は撤退したものの、今年の出展企業は270社に増え、多くはアップルファンからなる参加者も2万5000人といわれ、活気があった。
会場で取材していたITニュースサイト「ヴェンチャー・ビート」のリードライター、ディーン・タカハシ氏に創業者で元CEOのスティーブ・ジョブズ氏亡き後のアップルの将来について聞いてみた。「アップルにはいまだ、アップルTV、新しいiPadやiPhoneとパイプラインがある。でもその後は、自分たちでやっていかなければならない。約3年後にどうなるか興味深いところだ」。
来場していたアップルユーザーの一人、カリフォルニア大学バークレー校大学院生のアルバート・ウー氏は、「アップルはAOLやネットスケープと違って、ソフトだけでなくハードがある。スティーブ・ジョブズのレガシーがなくても、アップルは大丈夫だと思う。彼らは単なるメーカーではなく、クリエイティブに製品を市場に送り出している。そこがアップルの強みだと思う」と語っていた。
次に、実際に会場でアップル製品そのものではないが、アップルを盛り立てていく関連製品をチェックしてみた。スタンフォード大学のモニカ・ラム博士が率いる研究室から生まれたモカファイブ(MokaFive)社の製品は、マック環境でウィンドウズ向けのアプリ開発をするための製品で、従来、企業への導入がいま一つとされていたマックの弱点を克服する可能性を秘める。
無料のアプリケーションでは、サンフランシスコのツアーリスト(TourWrist)という会社が、iPhone4からパノラマ写真を撮れる製品を出していた。風景写真にも使えるが、不動産会社が物件のパノラマ写真を撮り、商業用にも使っている。
iPadなどタブレットの画面に絵を描くための電子ペン(スタイラス)のノーマッド・ブラッシュや、デジタル絵画向けペイントソフトのアートレイジ(ArtRage、アンビエントデザイン社)などが出展されていた。
日本企業では富士通が大きなブースを構え、同社の人気スキャナー「スキャンスナップ」などが人気を集めていた。富士通の製品と競合するスキャナーを出していたのが、Doxie。発売元はアパレント(Apparent)社でEye−FiX2 SDカードなどをスロットに入れ込むことで、無線LAN機能を追加できる細身のスキャナーを出していた。
来年のマックワールド/iWorldはサンフランシスコのモスコーニ・ウエストで1月31日から2月2日まで開催される。なおアップル主催の今年のワールドワイド・デベロッパーズ・コンファレンス(WWDC)は6月10日から15日に開催されるとの巷のうわさだ。
(Ayako Jacobsson =東洋経済オンライン)
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