歴史的高騰のコメ、今秋には一転「コメ余り」か 「備蓄米の放出」は生産者にも変化をもたらす

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コメ高騰
「コメは日本の主食」として、いざという時に作れるよう財政投入してきた(記者撮影)

店頭からコメが消えた「令和の米騒動」。異常事態は今なお続く。

「秋に新米が出回れば落ち着く」という農林水産省の見立てとは裏腹に、コメ価格は大幅に値上がりしてきた。年が替わって1月下旬。農水省は備蓄米の放出に踏み切ることにした。

1月の東京23区消費者物価指数で米類は、1年前の1.7倍になった。全国指数とともに2024年10月以来、統計上最大の上昇率を更新している。

「コメは国内の消費を十分まかなえる量が生産されている。異常な状況だ」。1月31日、江藤拓農水相は国会でこう答弁し、価格高騰の理由を「流通の目詰まり」と表現した。

コメ争奪戦に「抱えこみ」疑惑

2024年産米のご飯向け(主食用)コメ収穫量は679万トンと前年より18万トン多い。ところが、JAをはじめ主な集荷業者が生産者から集めたコメは前年より逆に20.6万トン少なかった。

品薄を受けて、新米の収穫が始まると産地で高値を示してコメを確保しようとする争奪戦が起きた。JAは生産者に前払いする概算金を前年の1.4~1.5倍に引き上げたが、十分に集められなかった。

概算金の引き上げを反映し、JAが卸売業者に販売する相対価格は上昇した。相対価格以上に上昇が著しいのが、業者間で取引するスポット価格だ。1月下旬には2024年の3倍近い水準までつり上がった。卸売業者はJA経由の仕入れが減った分、業者間取引でコメを確保しようとした。

こうした流通段階での価格高騰が、スーパーのコメやコンビニのおにぎりの売価に反映されている。

【驚愕のデータ】統計上最大の上昇率となった「消費者物価指数の米類」と、スポット価格が2024年の3倍近い水準にまでなった「流通段階の取引価格」
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