グーグル社員が仕事の合間に自然の中で過ごす訳 「イライラしたらゴルフ」「森に行き深呼吸」
「仕事があって、自分がいる」ではなく、「自分がいて、仕事がある」からストレスなく働けるのだ。
「自分にとって、何がいちばん大切なのだろうか」
そんな問いを頭に巡らせ、週末、自然の中に身を置き自分の時間を過ごす人や、計画を立てて長めの休暇を取り「内省の旅」をする人もいる。
喧嘩をしたら、大きく深呼吸
電子系エンジニアとしてグーグルで働く50代のラルフは、妻と一緒にカリフォルニアのベイエリアに住む。
週に2日だけオフィスに出勤する以外は、自宅やレストラン、カフェでリモートワークに励む。空いた時間は、妻が経営するメキシカンレストランを手伝う。
自分のための時間を確保するのは難しいが、それは仕方ないと割り切っている。いまは、リタイア後に暮らしていけるだけの十分なお金を貯める。それがラルフのプライオリティだ。
給料の一部を投資し、残りはソフトウェアの開発につぎ込む。将来、そのソフトウェアを売却したら、自分は会社を設立し開発をサポートする側に回る。老後はのんびりと、妻とレストランを営んでいたい。そのゴールに向かって、夫婦で力を合わせながら多忙な日々を過ごしている。
ラルフにとって、時間管理は生きていくうえで最も大切なスキルだ。もちろん、いつも上機嫌でいられることはない。クライアントとのあいだでトラブルが生じるときもあれば、コーヒーカップをテーブルに置いたままにして、妻と口喧嘩する日だってある。
そんな日は、昼休みなどを使いミニゴルフやピックルボール(バドミントンコートと同じ広さのコートで板状のパドルを使い、穴あきのボールを打ち合うスポーツ)で頭の中を空っぽにする。タイミングよくスポーツができればラッキーだが、たいていは朝から晩までタスク漬けだ。
それでも欠かさない毎日のルーティンがある。家の近くの森を散歩中に、ときおり立ち止まっては目を閉じて深呼吸をする。
これは、頭をクリアにして、集中力を高める呼吸法(ブレスワーク)として知られている。ラルフにとって、心の平和がもたらされる大切な時間だ。
「自分にとって、何がいちばん大切なのだろうか」
そう自問しながら、思考や感情を整えていく。ラルフにとっては、できるだけスポーツをする時間を作ること、そして、妻と協力しながらレストランビジネスを成功させることが大切だ。
大きく深呼吸をしながら、それを確認すると、人生のモットー「置かれた場所で、一生懸命に生きる」をゆっくりと口ずさむ。まるで、最澄の名言「一隅を照らす」である。
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