サム・アルトマンが描く「知能コストゼロ」の未来 ソフトバンクとAI事業開発へ

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イベントにおいて孫氏は、AGIが、特に企業向けに特化した形であればという前提で、従来予想されていたよりも早期に、早ければ数年で実現する可能性があると指摘、特に大量のデータを活用する大企業を中心にAGIの導入が進むと予測した。

AGIの実現には、いわゆる質問への回答が賢い言語モデルの構築だけではなく、さまざまなタスクに特化したエージェントの開発が膨大に必要になる。しかし、特定企業の特定事業、業種に特化したエージェントならば、遠くないうちにできるという意味だろう。

アルトマン氏はOpenAIの技術を日本市場に適応させ、大きなプロジェクトを進める中で、グローバル規模でのモデル構築や先端技術の展開を加速できると期待している。日本での先行事例が、世界中の企業の業務変革を支援していくだろうとするコメントは、この提携が”自分たちの理想に近づくため”の一歩だと捉えていることを示している。

知能のコストをゼロに近づけることがAIの使命

アルトマン氏は言うまでもなくAI開発者であり、彼の頭の中はAGI実現に向けてのさまざまなシナリオが詰まっている。東京大学における学生たちとの対話では、そんなエンジニア、テクノロジーのビジョナリストとしての側面が感じられる対話が数多くあった。

「AI時代において、教育者の役割はどのように変化するのか?」という質問に対し、アルトマン氏は「AIが知識の提供を担うようになれば、教師の役割は『知識の伝達者』から『学習のファシリテーター』へと変わる」と指摘した。

すなわち、AIが学習者の知識を補助することで、教師はより深い洞察や批判的思考を学習者に促すような教育スタイルに変化し、新たな知の探索をより深く行えるようになるというわけだ。

アルトマン氏はもう少し近い将来の改革についてコメントした。「AIはリアルタイムで学習者の理解度を測定し、適切なフィードバックを提供できる。学習者に1人ずつ寄り添い、カスタマイズされたカリキュラムを提供できるようになる。これにより教育の質が飛躍的に向上するはずだ」

しかし、こうしたAI機能には”誰もが公平にアクセスできる”必要もある。

AIの活用とは、すなわち知識と教育へのアクセスでもある。その手段を民主化することで、世界中のあらゆる人々が高度な学習を享受できる未来が描ける。

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