「フクシマ論」筆者が仕掛ける福島ツアーのうまさ 参加者が口にする"頭でっかちではない魅力"

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開沼 博(かいぬま・ひろし)/1984年福島県生まれ。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。立命館大学准教授等を経て、2021年4月から東大大学院情報学環准教授。ほかに、東日本大震災・原子力災害伝承館上級研究員、ふくしまFM番組審議会委員、東日本国際大学客員教授。著書『日本の盲点』『漂白される社会』など

「ツアー客は、大企業の経営幹部候補生からメディア関係者、インフルエンサーに至るまで多岐にわたっています。移動の途中も車窓から見える風景の奥で何が起き、今後起きつつあることを解説し、学びの場とする。最後はみんなでうまい魚をアテに、うまい酒を飲み、温泉につかるというツアーです」(開沼氏)

開沼氏は続ける。

「釣り船に乗ってもらえれば、海の豊かさや常磐ものの独自性が実感できます。例えば釣れる時期だと、80センチメートルとか1メートルの“座布団ヒラメ”が1人5〜10枚は釣れます。春を告げる魚と言われるメバルも、“尺メバル”と呼ばれる大きなものが30〜50匹釣れます。刺し身、煮魚、塩焼き、フライ。全部いけますね」

参加者の1人は、クラフトビールを片手に上機嫌で「これまでの社会問題スタディーツアーというと、頭でっかちな印象がありました。ところが今回のツアーは、まず『うまい』があり、そこから学びの興味も湧いてきましたね」と語っていた。

福島は前を向いて進むフェーズにある

確かに原発事故後、風評被害や禁輸措置などによって大きなダメージを受けた。しかし漁獲量は増加し、魚価も上がっているのが実態だという。

「福島の海が危ないというのは、中国のプロパガンダだったということ。そういう意味では、中国によるナイスアシスト、オウンゴールだったというエビデンスもある。だから福島はもう前を向いて進むフェーズにあるのです」(開沼氏)

福島の地は、過酷な災害を乗り越え、15年ほどの時間をかけて新たな魅力を創り出してきている。再生の物語に触れる旅は、私たち自身の未来に向けた一歩を考えるきっかけになるだろう。

根本 直樹 ライター

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ねもと・なおき  / Naoki Nemoto

1967年生まれ。立教大学文学部仏文科中退。その後『週刊宝石』記者を経てフリーに。主に暴力団や半グレなどアンダーグラウンド分野の取材・執筆活動を続けている。

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