フランスは「平均44歳」欧州に旧型客車多い事情 鉄道復権で中古需要活発、新車導入も進むか
だが1990年代以降、ヨーロッパでも客車列車から電車や気動車への置き換えが進むようになった。各国で高速鉄道が次々と開業し、それまで都市間優等列車の主力だった客車列車は、年を追うごとに支線のローカル特急や、急行列車などへ格下げされていった。
近郊列車も、機関車や客車の老朽化により置き換えが必要となったタイミングで、電車や気動車への交代が進んだ。近年は、旅客用車両は電車や気動車、さらにバッテリーを積んだハイブリッド車両のような固定編成の車両ばかりとなっている。
息を吹き返した?客車列車の強み
だがコロナ禍以降、客車を取り巻く状況はやや風向きが変わりつつある。ヨーロッパでは環境問題の後押しもあって、鉄道の需要が増え続けている。この需要に応えるため、電車や気動車への置き換えで余剰となっていた機関車や客車を活用する方向へ進んでいくのではないかという予測があるためだ。
前述のドイツ鉄道や、オーストリアの高速列車「レイルジェット」、夜行列車「ナイトジェット」を筆頭に、ベルギーやポーランド、チェコでも新型客車が投入されるなど、今も客車の需要は低くない。
また、これらの新型客車に押し出されて不要となった旧型客車は民間オペレーターへ売却され、ヨーロッパ全土で運行されている。こうした民間事業者はどこも好調で、つねに客車が不足している状況であることから、中古車市場もかなり活況を帯びている。
これらの事業者が客車列車を選ぶ理由は、すでに各国で運用の実績がある客車なら、機関車さえ手配すればすぐにでも運行開始できるためだ。民間事業者の中には、新型客車の購入を示唆する会社もあり、ヨーロッパの客車需要は当面続くものと考えられる。
平均車齢については、
一方で旧型客車に関しては、強度や耐久性についての課題も指摘される(2024年7月23日付記事『衝突事故で「1両だけ大破」、欧州鉄道の隠れた課題』)。客車をめぐる動きは、現在のヨーロッパの鉄道の状況をよく示しているといえるだろう。
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