モラハラで「妻子に去られた夫」たちが集い語る事 「モラハラDV加害者」は本当に変われるのか?(後編)【再配信】

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では、モラハラDVの加害者が内面的な意味で変わるのはどんな場面か。自分から「ケアを始める」という、ケアの主体性を発揮することだと思います。どんなにきれいごとに聞こえても、まずはそれをやってみる。それを何度か続けていくうちに相手からケアが返ってきて、「相互にケアし合える関係」になったとき、内面的にも変わると思います。

自分の存在が穏やかでくつろいだ感じになり、傷つきや恐怖が薄れ、弱さや不完全さとともに生きていっていいんだ、と思える。すると「この世界は信じるに足るんだ」と思えるようになるんですね。

(画像:『99%離婚 モラハラ夫は変わるのか』より)

内面の変化が発生するためには、「関わる他者」が必要になる場面もあります。それを同じ「変わりたい」と願う加害者同士でやろう、というのがGADHAのコンセプトです。

――「ケアをし合う関係」を実践し、経験する場として、GADHAを立ち上げたんですね。

おっしゃる通りです。この実践にパートナーを巻き込もうとすると、難しくなってしまうんです。「もうあなたとは一切かかわりたくない」というパートナーにとっては「まだヨシヨシしてほしい(ケアを要求してくる)んですか?」と受け止められるのは自然なことです。

99%離婚 モラハラ夫は変わるのか
『99%離婚 モラハラ夫は変わるのか』(KADOKAWA)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

「ケアをする」は、あらゆる人間関係のなかで実践することができます。でも、安心して失敗できるのは加害者同士の場くらいですよね。一般の人間関係で失敗したとき、「今のは『ケアの欠如』なので、僕はあなたから離れます」なんてことは、誰も教えてくれない。でもGADHAなら、そういうことをみんなお互いわかっています。

もう一つ付け加えると、カウンセリングを受けるだけでは、加害はやめられないと僕は思います。なぜならカウンセリングの関係において、加害者は常に「ケアされる側」だから。「お互いにケアする」という練習をするには、傷つけ合い、学び合い、弱音を吐き合って励まし合えるような、当事者間の相互的な関係性が、僕は一番重要だと思っています。

「加害者は変われない」と言われてきた理由

――世間ではよく、「モラハラ夫(妻)は変われない」と言われますよね。

どうして「変わるなどあり得ない」と思われているかというと、一つには「変われたケースを知らないから」だと思うんですね。よく「母親になると人は変わる」「上司になると人は変わる」と言われるのは、そういう例をいっぱい見たから、その人はそう思うわけです。逆に「加害者は変われない」と言うのは、加害者が変わった事例を知らないから。

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大塚 玲子 ノンフィクションライター

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おおつか れいこ / Reiko Otsuka

主なテーマは「いろんな形の家族」と「PTA(学校と保護者)」。著書は当連載「おとなたちには、わからない。」を元にまとめた『ルポ 定形外家族』(SB新書)のほか、『PTAでもPTAでなくてもいいんだけど、保護者と学校がこれから何をしたらいいか考えた』(教育開発研究所)『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)『オトナ婚です、わたしたち』(太郎次郎社エディタス)『PTAをけっこうラクにたのしくする本』(同)など。テレビ、ラジオ出演、講演多数。HP

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