ビジネスで活かす電通「鬼十則」 柴田明彦

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ビジネスで活かす電通「鬼十則」 柴田明彦

多くの企業が企業理念や行動規範を文章化しているが、社員以外に知られている
ものは皆無に近い。しかし、内容を暗記していなくても、電通マンの猛烈さを示す
ものとして「鬼十則」という名前をかなり多くの人が知っていると思う。

わたし自身は「鬼十則」を読んだことがあるが、読み飛ばしていた。今回あらたに
柴田氏の著書を読み、尋常でない迫力に驚いた。また昭和という時代を思い出した。

本書は、「鬼十則」10条を1条ずつ章立てとし、柴田氏の解釈、経験、洞察を語っている。しかし鬼十則の解説本ではないし、ハウツー本でもない。著者のビジネス流儀と自己哲学を、自分の言葉で語っており、文章は力強い。

まずは十則を紹介しておこう。電通中興の祖・4代目社長吉田秀雄が1951年(昭和26年)に制定した行動規範だ。

鬼十則第1条 仕事は自ら「創る」べきで、与えられるべきでない。
鬼十則第2条 仕事とは、先手先手と「働き掛け」て行くことで、受け身でやるものではない。
鬼十則第3条 「大きな仕事」と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
鬼十則第4条 「難しい仕事」を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
鬼十則第5条 取り組んだら「放すな」、殺されても放すな、目的完遂までは…。
鬼十則第6条 周囲を「引きずり回せ」、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
鬼十則第7条 「計画」を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
鬼十則第8条 「自信」を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
鬼十則第9条 頭は常に「全回転」、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
鬼十則第10条 「摩擦を怖れるな」、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。

十則全体が積極的な行動重視で貫かれている。近年、求める人材像として「出る杭」が上げられるが、要するに打たれても打たれても出てくる杭のような行動を取れ、ということだ。

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