ビジネスで活かす電通「鬼十則」 柴田明彦

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鬼十則第4条 「難しい仕事」を狙えでは、日本社会の“均質性”を批判している。つねに“和解”を目指す論争、“馴れ合い”に終わる対話。このような愛社精神が“排他性”や“閉塞感情”を生む。そして個は慣行に従っているうちに自分の枠やストッパー設定してしまう。

柴田氏は「棺桶のフタが閉まるまで自分の枠を限定することを止めてみよう」と呼びかける。そして現状の能力を凌駕する目標「ストレッチ・ゴール」を設定することを進める。具体的には「難しい仕事」に取り組むのだ。

本書は、1983年に電通に入社した柴田氏が取り組んだ仕事、描いたゴール、そのための方法、学び成長したことを主体にして叙述されているが、途中から「成長」そのものがテーマになってくる。キャリア・ビジョンや、次世代リーダーの育成だ。

学者がリーダーについて語ると観念的になるが、柴田氏は電通マンとして成長し、リーダーとして後進を育ててきた。非常に具体的なリーダー論であり、実践的である。

読みながら思い出したのは、1980年代(昭和)の日本だ。当時は柴田氏に限らず、モーレツに仕事をすることができた。やらせてもらえたし、失敗してもとがめられず、成長の糧にできた。しかしいまはどうだろうか?

ISO9001、14001、コンプライアンス、CSR、個人情報、ワークライフバランス、残業規制と、
「してはならない規則」で縛られているように思える。 本書の帯には、ビジネス環境が変わっても通底する「普遍の真理」がある、と書かれている。

そして多くの読者にとって本書は有益だと確信する。とくにグローバル化ビジネスにおいて「普遍の真理」だと思う。だがその一方で、日本社会や企業文化が内向き志向に陥っていることも事実だ。

(HRプロ嘱託研究員:佃光博=東洋経済HRオンライン)

朝日新書735円

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