死後に名を残したいと願う人が見えていない盲点 根拠もなく、よい状況を前提にしていないか?

リアルに死後の世界を空想すれば
あるとき、私は東京のホテルで、風呂上がりにFMラジオのピアノ曲を聴きながら、ソファに座って目を閉じていた。あまりに気持ちがいいので、もしもこれが死後の世界だったらどうだろうと空想してみた。
私はもう死んでいる――。
しかし、暗闇の中に意識がある。死は無というわけではなかったと気づき、まずは喜ぶ。霊魂か何かは知らないが、こうして私の意識は残っている。自由で快適で何の束縛もない。今、私は死後の世界にいる。さて、何をしようか。
肉体がないので、考えることしかできない。それならまず、人生を振り返ってみようか。
あんなことがあった、こんなこともあった、楽しかった、嬉しかった、面白かった、ありがたかった。具体的にいろいろ思い出すが、1時間もすれば思い出も尽きてしまう。
あれこれ思い出すうちに、同じことばかり考えたり、そのうち腹の立つことも思い出されてムカつき、恥ずかしいこと、惨めなことなども思い浮かんで、気分が悪くなりかける。
だったら、先に亡くなった人に会おうか。両親、祖父母、幼なじみ、友だち、知人、先輩――。
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