「異性交遊で謝罪」人気アイドルが生きる"理不尽" 理想を押し付け誹謗中傷するファンにも問題
一方で、アイドル側も競争が激しくなっており、歌とダンスというパフォーマンスだけでなく、ファンの自己肯定感を満たすことも求められるようになっています。
その結果、行き過ぎたファンは、アイドルにひたすら理想を求めるようになり、「好き」や「応援」という気持ちが、いつの間にか「メンバーはこうあるべきだ」という押し付けに変化します。
このタイプには内心、メンバーに対して恋愛感情を求めるファンがいるのも事実です。恋愛感情の延長として、メンバーが異性と交遊関係を持つことを極端に否定し、異性交遊が発覚すると誹謗中傷に転換する傾向があります。
極論を言えば、行き過ぎたファンは「アイドル活動以外」は受け入れることができず、「理想の押し付け」を「メンバーとしての覚悟や自覚が足らない」という言葉にすり替える傾向にあります。
たとえば、大学に進学してアイドル活動以外の交友関係を広げながらも、歌やダンスといったスキルアップについても、誰よりも手を抜かないというメンバーもいるはずです。
契約書にあっても恋愛禁止は法律上無効
法律的には、恋愛禁止条項が芸能事務所とメンバーとの専属マネジメント契約書に明記されていても、昨今の裁判例では、その有効性が否定される傾向にあります。
つまり、契約関係にある芸能事務所ですら、メンバーの人間関係を含め、プライベートへの介入は難しいということです。
なおさらファンがプライベートを規制するのは難しいのですが、SNSへの誹謗中傷という手段で自己の意思を押し通そうとする人もいるのが現実です。
アイドルに偶像性を求めるのは、今のSNS時代には難しくなっています。それは、昔よりアイドルの意識が低くなったということではなく、SNSの普及により環境が変わったということです。
街中でも、学校でも、誰もがカメラ付きスマホを持っているので、いつどこで意にそぐわない写真を撮られてSNSにアップされるかわかりません。
投稿についての法律的問題もありますが、現実的に、常にプライベートが晒される状態にあるなか、アイドル側も学校などで「私はアイドルだから」というスタンスで異性との交友を拒めば、学内での人間関係もうまくいかなくなるでしょう。