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ソフトバンク"脳細胞"を活用する異例の取り組み 次世代のAIとして2050年の実用化を目指す

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  • 石井 徹 モバイル・ITライター
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報酬刺激とペナルティ刺激を与えて簡単なゲームを解かせたところ、20分学習させた時点で成功率が1.5倍になった(筆者撮影)

脳のパーツをつなげて性能向上

1個のオルガノイドだけでは情報処理に限界があるが、複数のオルガノイドを結合すると、より高度な学習が期待できるという。東京大学の池内与志穂准教授は、「複数のオルガノイドを神経突起(軸索)でつなぎ、それぞれに異なる役割をもたせる」技術を開発し、この連結された回路を「コネクトイド」と名付けている。脳には視覚や運動などさまざまな領域が存在し、相互にシナプス(神経接合部)を形成することで高度な情報処理を行うが、その仕組みをモデルにしたものだ。

東京大学 生産技術研究所の池内与志穂准教授(筆者撮影)
オルガノイドを結合した「コネクトイド」でも実験を行った(筆者撮影)

実験では、オルガノイドを単体(Solo)、2個接続(Duo)、3個接続(Trio)の条件で刺激の分類タスクを行ったところ、個数が増えるほど分類精度が上がる結果が得られた。池内准教授は「オルガノイドを連結した部分の結合は弱くなりがちですが、強い結合部と弱い結合部が組み合わさることで情報処理が可能になる」と説明する。この“コネクトイド”技術が大規模に展開できれば、さらに複雑なタスクへ応用できるようになるかもしれない。

オルガノイドを複数結合して刺激を分類させる実験を行った(筆者撮影)
複数結合することで正答率が向上したという(筆者撮影)

ただし、現状のオルガノイドはまだ発展途上で、ソフトバンク先端技術研究所の朝倉慶介氏は「まるで赤ちゃんの脳のような段階」と述べる。培養には3~6カ月かかり、温度や栄養を細かく管理する手間も大きい。また、生物由来のため個体差があり、同じ刺激を与えても反応が異なるケースが多いという。

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